トラックも入れる大きさがあるのに、バイクを受け入れない駐車場(新宿区西新宿)《撮影 中島みなみ》

2020年に全国の自動二輪車の整備比率を登録56.4台にする。国土交通省の事後評価実施計画の中に具体的な数値目標が記されていることが、街路交通施設課への取材でわかった。

昨年8月に策定された2018年度の計画は、2015年度を基準年度として、同年度の整備比率52.3台を56.4台に、4.1台分引き上げることを掲げる。整備比率とは登録台数1000台あたりの供用台数のことだ。

この目標は「都市再生・地域再生を推進する」ための業績目標の1つだ。事後評価実施計画に盛り込まれた政策は、設定目標と成果を照合しながら、2021年度に評価結果を取りまとめることになっている。実はこの計画は同年が初めてではなく、2002年から毎年策定されている。

ただ、その計画にせっかく自動二輪車の駐車場整備の目標が盛り込まれた後も、国交省はこの目標を前面に打ち出して整備促進を訴えてこなかった。整備は地方自治体が中心となって行うという考え方が根強かったためだ。街路交通施設課は都道府県の駐車場政策担当者を集めて毎年1回、整備促進を訴える会議を主催する。同課は「駐車場政策担当者会議では、今年の2月開催分も含めて、ここ3年間は、国が業績目標を設定していることを資料等で説明していませんでした」と語る。

地方自治体に取材をすると「駐車場を作る前に、その必要があるかどうかを見極めることが先」と、整備促進を後戻りさせる声も多かった。駐車場不足は、同省大臣だけでなく、警察庁交通部の通達や、小池百合子東京都知事も言及している。目標を訴えることで、都道府県には整備促進の重要性がうまく伝わるはずだ。

「国の基本姿勢を示すものとして、こうした情報を自治体と共有することは必要。今年度以降は、きちんと説明していきたい」(街路交通施設課担当者)

駐車整備に前向きな地域だけでなく、全国の駐車環境を底上げするためにも目標周知は不可欠だ。