メガピクセルの高解像度で制御できるDLPチップセットを組み込んだヘッドランプ

テキサス・インスルメンツ(TI)は1月9日、米国ラスベガスで開催されたCES 2018において、最先端「DLPテクノロジー」を用いてアダプティブ・ドライビングビーム(ADB)を実現した高解像度ヘッドランプ・システムを発表した。

今やADBを搭載したヘッドランプは世界的潮流を生み出しているが、共通の課題となっているのは照射精度だ。

現在は複数のLEDランプを組み合わせて照射範囲を決定しているが、眩惑を防ぐために本来なら照射すべきエリアもケラれてしまっているのが実情だ。その要因は被写体を捉える認識精度と、照射するLEDランプの解像度があまり高くないからに他ならない。

TIはDLPプロジェクターで培った高解像度技術を駆使してこれをクリア。かつてない精度で正確にコントロールできるようにした。

TIが発表した資料によると、その解像度はヘッドライト1個あたり100万ピクセルで、それは既存のADBテクノロジの1万倍以上の解像度を発揮することになるという。しかもこのシステムの凄さはその追従性と、対象物に応じた照度まで自在に変えられる点にある。

たとえば、歩行者が照射方向にいると、顔の部分にマスキングを与えて歩行者が眩惑しないようにする。また、標識など反射物に対しては照度を抑えて見やすく照射することがでできるなど、ビームパターンは自在にカスタマイズ可能となっている。

それだけではない。このヘッドランプには描画機能を備えることができ、たとえばカーナビゲーションの進路案内を路面上に映し出せる。つまり、ドライバーが自然に目に入ってくる位置にドライブに必要なガイド情報を多彩に映し出せるのだ。この技術を活用すれば、たとえば工事現場などで車両を誘導したい時、その道順を路面上に反映させることも可能となる。実用化されればよりスムーズな誘導方法としてメリットは大きい。

TIによればこの製品はLEDやレーザーを含むあらゆる光源で動作可能で、その用途は自動車だけにとどまらない幅広い活用が期待できるという。このチップは現在、世界中の自動車メーカーやサプライヤーへサンプル供給中で、製品版は2018年後半にも提供が開始される予定になっている。

発表された高解像度ヘッドライト・システム向けの『DLP5531-Q1』DLPチップセット 人の顔を認識してマスキングする部分が自動追従していく。眩しさを感じるのは一瞬だけだ DLPチップセットを組み込んだヘッドランプシステム 路面には多彩な表示を投射することも可能だ 『DLP5531-Q1』DLPチップセット 100メガピクセル単位の制御を謳うDLP技術 高解像度なだけでなく必要な反射率なども考慮して照射する 工事現場ななどでは、通信によって誘導したい方向へのガイドも可能となる