新車・中古車小売業 倒産件数・負債総額推移

帝国データバンクは5月15日、2016年度(2016年4月〜2017年3月)の自動車小売業の倒産動向を発表した。

2016年度の自動車小売業(新車・中古車)の倒産(法的整理)は前年度比29.4%増の110件となり、2年ぶりに前年度を上回った。負債総額は同68.1%増の133億8200万円で2年連続の増加となった。

業態別では新車小売業が同18.8%減の13件となり、2年連続で前年度を下回ったほか、2000年以降の17年間で最少を更新した。一方、中古車小売業は同40.6%増の97件となり、5 年ぶりに前年度を上回った。負債総額は同20.1%増の約71億4400万円となり、3年連続で増加した。

中古自動車業界は、東日本大震災による被災地需要や、海外での中古車輸出などが好調だったこともあり、倒産件数は減少傾向となっていた。しかし、海外では資源価格下落などの影響による輸出先の景気と需要が低迷。国内でも2015年の軽自動車税引き上げや、燃費不正問題に伴う軽自動車の一部車種販売停止措置などで登録台数が減少。加えて、新車市場の低迷で中古車買取台数が減少傾向にあったことや、輸出の増加などで中古車の供給量が減少し商品車両不足の状態となっている。そうした中で、在庫確保などを目的に利幅の薄い買取競争が加熱するなど、業者間での競争が激化し収益を圧迫しつつあることが、中古自動車小売業の倒産が増加している背景と考えられる。

またタイヤやホイールなどの販売などを行う自動車部品・付属品小売業の2016年度の倒産は、同109.1%増の23件となり、3年ぶりの増加。負債総額は同39.6%減の20億8700万円となり、2年ぶりの減少となっている。

自動車部品は自動車販売の低迷に伴い、若者を中心としたカスタマイズパーツ需要も減少する中、メーカー純正パーツの人気が高まっているほか、同業他社やホームセンターなど異業種との競合による価格競争がし烈となっている。加えて、タイヤなどのカーケア用品はインターネット通販の普及が加速。こうした市場環境の変化も一因となって収益が悪化し、倒産に至るケースが散見された。

自動車部品・付属品小売業 倒産件数・負債総額推移