
東京海上日動火災保険と日本工営は、全国の自治体や教育委員会が行なう通学路安全点検の効率化と安全対策の高度化を目的とした「通学路安全点検支援システム」を開発した(8月13日発表)。
今後、全国の自治体や教育委員会に提供し、子どもの安心・安全な通学環境づくりに貢献するとしている。
背景には、2021年に千葉県八街市で発生した下校中の児童が巻き込まれる死傷事故などを受け、国が全国的な通学路合同点検を推進してきた経緯がある。両社は内閣府SIP第3期「スマートモビリティプラットフォームの構築」において交通安全技術やデータ基盤開発を進める中で、自治体へのヒアリングを通じ課題を整理し、このシステム開発に至った。
従来の通学路安全点検における課題としては、危険箇所報告の方法が統一されておらずアナログ作業が多いこと、危険度評価の基準が担当者の経験や感覚に依存し納得感に差があること、過年度のデータ引継ぎや確認に時間を要することが挙げられていた。
新システムはウェブサービスとして提供され、学校やPTAはスマートフォンから危険箇所や要望を写真と位置情報付きで入力でき、地図上で集約・可視化される。教育委員会や行政関係者はPC上で要望内容を確認し、担当部署や進捗状況を管理可能。さらに東京海上日動が保有する事故データやドライブレコーダーの危険運転情報をAIで分析した「交通事故発生リスクマップ」を搭載し、安全対策の優先順位付けを支援する。
また、対策済み箇所はシステムに記録され、自治体ホームページで公開することで、翌年度以降の作業効率化にもつなげる。両社は今後も各地の自治体への提供を拡大し、持続可能な通学路安全確保に寄与するとしている。



