
ポルシェのeスポーツファクトリーチームは、新たにドイツ・ケルン郊外のオッセンドルフに本拠地を移したと発表した。新施設「ポルシェeスポーツパフォーマンスセンター(PEPC)」は、プロ用照明機器の市場リーダーであるTrilux Licht Campus内に位置する。PEPCは5月2日に正式に開設された。
ポルシェモータースポーツ副社長のトーマス・ローデンバック氏は、「新本拠地はポルシェにおけるシムレーシングの重要性を示す」と述べている。PEPCを拠点とするポルシェ・コアンダeスポーツ・レーシングチームは、ポルシェ・ペンスキーモータースポーツやTAGホイヤー・ポルシェフォーミュラEチームに次ぐ三つ目のファクトリーチームである。
eスポーツマネージャーのニーナ・ブラック氏は、デジタルレースの身体的側面が従来のモータースポーツと異なるため、精神面の環境整備が重要だと説明する。Triluxの照明は反射や雑音を抑え、選手のパフォーマンス向上に寄与している。これにより、ノルトライン=ヴェストファーレン州内のグローナウからケルンへの移転が合理的と判断された。
新施設は324平方メートルの広さを持ち、6台のプロ用レーシングシミュレーターとパフォーマンスエンジニア用の作業スペースを備える。さらに、オープンスペースや会議室、フィットネス・リラックスゾーン、ショーカー展示エリアも設けられている。ここで選手たちはオンラインレースのトレーニングと競技を行う。
ブラック氏は、若手選手の生活環境の向上も移転の目的だと語る。以前はグローナウで共同生活をしていたが、ケルンでは個別の住居を持つ者も増え、選手の成長を支えているという。ケルンは多くのeスポーツ・ゲーム企業が集まる都市であり、毎年世界中からゲーマーが集まるゲームズコムの開催地でもある。
コアンダeスポーツ・レーシングチームは、トップクラスのシムレーシングシリーズR1でチームチャンピオンシップを争い、現在首位に立っている。今夏にはサウジアラビアで開催されるeスポーツワールドカップの決勝が予定されている。
チームのドライバーはオーストラリア、アメリカ、イギリス出身の若手が中心で、24歳のジョーダン・カルーソーや20歳のチャーリー・コリンズらが名を連ねる。
eスポーツはビデオゲームを使った競技で、シムレーシングはその中でも実車に近い操作感を持つレースシミュレーションだ。ポルシェはデジタルとリアルの両面でモータースポーツに取り組み、若い技術志向のファン層との接点を広げている。シミュレーションはレース準備や車両開発にも活用されており、今後の重要な役割を担う。










