チャンピオンを獲得した坪井翔(中央)と宮田莉朋(右)、左は伊藤大輔チーム監督《撮影 益田和久》

栃木県・モビリティリゾートもてぎで5日、今シーズンの最終戦となるSUPER GT第8戦の決勝レースが行われ、三つ巴のチャンピオン争いの中、#36 au TOM'S GR Supra(坪井翔/宮田莉朋)が優勝してチャンピオンを決めた。

前戦の優勝でランキングトップに躍り出た坪井翔/宮田莉朋(#36 au TOM'S GR Supra)が69ポイント。千代勝正/高星明誠(#3 Niterra MOTUL Z)が7ポイント差の2位、福住仁嶺/大津弘樹(#16 ARTA MUGEN NSX-GT)が16ポイント差の3位で、この3チームのドライバーがチャンピオン獲得の権利を持って最終戦に臨んだ。

予選では逆転チャンピオンを狙う#3 Niterra MOTUL Z(千代勝正/高星明誠)がポールポジションを獲得し1ポイントを加算。2番手に#17 Astemo NSX-GT(塚越広大/松下信治)がつけ、ランキングトップの#36 au TOM'S GR Supra(坪井翔/宮田莉朋)が3番手につけてきた。ランキング3位の#16 ARTA MUGEN NSX-GT(福住仁嶺/大津弘樹)は9番手と低迷。最低でも優勝するしかチャンピオン獲得の権利がない福住と大津は、かなり厳しい状況となった。

決勝レースは63周。スタートでは5番手の#23 MOTUL AUTECH Z(松田次生/ロニー・クインタレッリ)が4位に浮上。トップ3は順位が変わらず、序盤はそのままの順位でレースが進んだ。仮にこの順位でゴールすればNiterra MOTUL Zの千代と高星がチャンピオンを獲得するが、23周目、2位のAstemo NSX-GTと3位のau TOM'S GR Supraはコース半周に渡ってサイドバイサイドのバトルを展開し、V字コーナーでau TOM'S GR Supraが2位に浮上してきた。これでau TOM'S GR Supraの坪井と宮田が、1ポイント差でチャンピオンを獲得する位置に躍り出た。

優勝して、あとはau TOM'S GR Supraが順位を下げるしかチャンピオンが獲得できない千代と高星のNiterra MOTUL Zは、なんとかトップをキープ。坪井と宮田のau TOM'S GR Supraは3位に8秒近い差をつけチャンピオンの座をほぼ確実にしてきた。

そんな中、残り11周となったところで雨が降り出し、一気に緊張感が増してきた。そして残り6周となった58周目、トップのNiterra MOTUL Zが濡れた路面に足元をすくわれスピン、コースアウト。コースに復帰はしたものの、ポイント圏外まで順位を落としてしまった。これでau TOM'S GR Supraはトップに浮上。そのままチェッカーフラッグを受け、堂々の優勝でチャンピオンを決めた。

坪井は2021年に続き2度目のチャンピオン、宮田はGT初チャンピオンで、スーパーフォーミュラとの2冠を達成した。

2位はMOTUL AUTECH Z、3位はAstemo NSX-GT。以下、#1 MARELLI IMPUL Z(平峰一貴/ベルトラン・バゲット)、#8 ARTA MUGEN NSX-GT(野尻智紀/大湯都史樹)、#14 ENEOS X PRIME GR Supra(大嶋和也/山下健太)と続き、チャンピオン争いをしていた福住と大津の#16 ARTA MUGEN NSX-GTは12位、千代と高星のNiterra MOTUL Zは13位だった。

■GT300クラスは埼玉トヨペットGB GR Supraの吉田広樹/川合孝汰がチャンピオン
チャンピオン争いは吉田広樹/川合孝汰(#52埼玉トヨペットGB GR Supra GT)が70ポイントでトップ、20ポイント差の2位に堤優威/平良響(#2 muta Racing GR86 GT)がつけ、この2チームのドライバーがチャンピオン獲得の権利を持って最終戦に臨んだ。

muta Racing GR86 GTは逆転チャンピオンに向けて見事ポールポジションを獲得し、堤と平良は1ポイントを加算してトップと19ポイント差に。埼玉トヨペットGB GR Supra GTは7番手からのスタートとなったが、チャンピオン獲得条件は、埼玉トヨペットGB GR Supra GTの吉田と川合は1ポイント(10位)でも獲得すればチャンピオン。逆に堤と平良は優勝しかチャンピオンを獲得する権利がない状況だ。

muta Racing GR86 GTは逆転チャンピオンに望みを残すべく序盤はトップを走行したが、16周目に#88 JLOCランボルギーニGT3(小暮卓史/元嶋佑弥)に抜かれ2位に転落。埼玉トヨペットGB GR Supra GTは安定した走りで、最終的に7位フィニッシュ。吉田と川合がともに初チャンピオンに輝いた。

優勝したのは#88 JLOCランボルギーニGT3で、GT500クラスでは何度も優勝していた小暮が、GT300クラス初優勝を獲得。元嶋はGT初優勝を飾った。

2位は#65 LEON PYRAMID AMG(蒲生尚弥/篠原拓朗)、3位は#6 DOBOT Audi R8 LMS(片山義章/ロベルト・メリ・ムンタン)。以下#31 apr LC500h GT(小高一斗/根本悠生)、#96 K-tunes RC F GT3(新田守男/高木真一)、#56リアライズ日産メカニックチャレンジGT-R(JP・デ・オリベイラ/名取鉄平)と続き、muta Racing GR86 GTは優勝するために様々なチャレンジを行ったが実を結ぶことができず、9位でフィニッシュした。

■SUPER GT第8戦もてぎ、GT500クラス決勝結果(トップ10)
1. #36 au TOM'S GR Supra(坪井翔/宮田莉朋)
2. #23 MOTUL AUTECH Z(松田次生/ロニー・クインタレッリ)
3. #17 Astemo NSX-GT(塚越広大/松下信治)
4. #1 MARELLI IMPUL Z(平峰一貴/ベルトラン・バゲット)
5. #8 ARTA MUGEN NSX-GT(野尻智紀/大湯都史樹)
6. #14 ENEOS X PRIME GR Supra(大嶋和也/山下健太)
7. #39 DENSO KOBELCO SARD GR Supra(関口雄飛/中山雄一)
8. #19 WedsSport ADVAN GR Supra(国本雄資/阪口晴南)
9. #37 Deloitte TOM'S GR Supra(笹原右京/ジュリアーノ・アレジ)
10. #100 STANLEY NSX-GT(牧野任祐/木村偉織)

■SUPER GT第8戦もてぎ、GT300クラス決勝結果(トップ10)
1. #88 JLOCランボルギーニGT3(小暮卓史/元嶋佑弥)
2. #65 LEON PYRAMID AMG(蒲生尚弥/篠原拓朗)
3. #6 DOBOT Audi R8 LMS(片山義章/ロベルト・メリ・ムンタン)
4. #31 apr LC500h GT(小高一斗/根本悠生)
5. #96 K-tunes RC F GT3(新田守男/高木真一)
6. #56リアライズ日産メカニックチャレンジGT-R(JP・デ・オリベイラ/名取鉄平)
7. #52埼玉トヨペットGB GR Supra GT(吉田広樹/川合孝汰)
8. #18 UPGARAGE NSX GT3(小林崇志/小出峻)
9. #2 muta Racing GR86 GT(堤優威/平良響)
10. #61 SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝)

優勝でチャンピオンを決めた#36 au TOM'S GR Supra(坪井翔/宮田莉朋)《撮影 益田和久》 GT500クラス表彰式《撮影 益田和久》 2位の#23 MOTUL AUTECH Z(松田次生/ロニー・クインタレッリ)《撮影 益田和久》 3位の#17 Astemo NSX-GT(塚越広大/松下信治)《撮影 益田和久》 GT300クラスチャンピオンの吉田広樹(左)と川合孝汰(中央)、右は青柳浩チーム監督《撮影 益田和久》 チャンピオンを獲得した#52 埼玉トヨペットGB GR Supra GT(吉田広樹/川合孝汰)《撮影 益田和久》 GT300クラス表彰式《撮影 益田和久》 GT300クラス優勝の#88 JLOC ランボルギーニ GT3(小暮卓史/元嶋佑弥)《撮影 益田和久》 GT300クラス2位の#65 LEON PYRAMID AMG(蒲生尚弥/篠原拓朗)《撮影 益田和久》 GT300クラス3位の#6 DOBOT Audi R8 LMS(片山義章/ロベルト・メリ・ムンタン)《撮影 益田和久》 GT500クラススタートシーン《撮影 益田和久》 GT300クラススタートシーン《撮影 益田和久》