ホンダの新型小型ビジネスジェット機《写真提供 ホンダ》

ホンダ(本田技研工業)の航空機事業子会社のホンダエアクラフトカンパニー(HACI、本社:米ノースカロライナ州グリーンズボロ市)は現地時間6月13日に、新型小型ビジネスジェット機の製品化を決定したと発表した。現行ホンダジェット『エリートII』より1クラス上で、型式証明取得の時期は2028年とする。

◆2021年にコンセプト機を発表
新型小型ビジネスジェット機は、2021年に発表したコンセプト機、ホンダジェット『2600コンセプト』をベースにする。HACIは同年、米ネバダ州ラスベガスにて開催された世界最大規模のビジネス航空機ショー、「ナショナル・ビジネスアビエーション・アソシエーション」(NBAA)で、小型ビジネスジェット機として2600コンセプトを発表しした。

その後、顧客から高い評価を得るとともに市場におけるニーズを確信したことから、HACIでは製品化を決定した。この決定に伴い、エンジン、アビオニクス、胴体などの主要サプライヤーとの契約を締結した。2028年ごろのアメリカ連邦航空局(FAA)による型式証明取得に向けて、開発を進めていくという。

◆ライトジェット機カテゴリーに参入
新型小型ビジネスジェット機は、HACIとして現在生産・販売している「ベリーライトジェット機」のエリートIIに続く製品となり、1クラス上のライトジェット機カテゴリーへの参入となる。HACIの山崎英人(※)取締役社長は「ライトジェット機カテゴリーへの参入は、ホンダの新領域である『空のモビリティ』への新たなチャレンジだ」という。 ※:崎は旁の上が「立」。

「ライトジェット機」は、最大離陸重量が1万2500ポンド=5670kg以上、2万ポンド=9070kg以下の、双発エンジンを搭載した機体。さらに上のクラスが「中型ジェット機」となり、最大離陸重量が2万ポンド=9070kg以上、3万5000ポンド=1万5880kg以下の、双発エンジンを搭載した機体。

◆主翼上面エンジン採用、ノンストップで大陸横断
HACIの新型小型ビジネスジェット機は、ホンダ独自の技術である主翼上面エンジン配置、自然層流翼型・ノーズ、コンポジット胴体をさらに進化させた。これらにより、最大11名の乗員・乗客が搭乗できる。パイロット1名での運用を想定しており、長距離飛行にも適した広いキャビン空間と優れた静粛性をめざす。

また、通常のライトジェット機より20%、中型ジェット機対しては40%以上燃費を向上させることで、ライトジェット機として世界で初めて、ノンストップでのアメリカ大陸横断=ニューヨーク〜ロサンゼルス間を可能とする。航続の目標性能は2625ノーティカルマイル=4860km(NBAA IFR Range、乗員1+乗客4)。

エンジンはウィリアムズ「FJ44」を搭載、アビオニクスはガーミン「G3000」システムを採用する。最大巡航速度は450ノット=830km/h(目標性能)、最大運用高度は4万7000フィート=1万4300m(目標性能)。

ホンダジェット2600コンセプト外観《写真提供 ホンダ》 ホンダジェット2600コンセプト機内《写真提供 ホンダ》 ホンダジェット・エリートII《写真提供 ホンダ》 ホンダジェット・エリートII《photo by Honda》