GT500クラス優勝の#23 MOTUL AUTECH Z(松田次生/ロニー・クインタレッリ)《撮影 益田和久》

岡山国際サーキットで17日、SUPER GT第1戦の決勝レースが行われ、ポールポジションからスタートした#23 MOTUL AUTECH Z(松田次生/ロニー・クインタレッリ)が大混乱のレースを制した。

2023年もSUPER GTの開幕戦は岡山国際サーキット。前日にウエットコンディションの中で行われた予選はニッサン勢が速く、#23 MOTUL AUTECH Z(松田次生/ロニー・クインタレッリ)がポールポジションを獲得し、2番手に#3 Niterra MOTUL Z(千代勝正/高星明誠)が入りフロントローをニッサンが独占した。3番手は#64 Modulo NSX-GT(伊沢拓也/太田格之進)、4番手は#14 ENEOS X PRIME GR Supra(大嶋和也/山下健太)と、セカンドローはホンダとトヨタ。以下#19 WedsSport ADVAN GR Supra(国本雄資/阪口晴南)、#37 Deloitte TOM'S GR Supra(笹原右京/ジュリアーノ・アレジ)、#8 ARTA MUGEN NSX-GT(野尻智紀/大湯都史樹)、#100 STANLEY NSX-GT(山本尚貴/牧野任祐)と続いた。

81周の予定でスタートした決勝レースは大荒れの展開となった。スタート時点では晴れていたが、7周目付近から雨が降り始め15周目に多くのチームがウエットタイヤに交換するためピットに飛び込んだ。このタイミングでコースアウトしたマシン、ピット作業のミスでタイヤが脱落してしまったマシン、トラブルでピットロード出口に止まってしまったマシンがあり、FCY(フルコースイエロー=一定速度で間隔を保って走行)が出され、その後セフティーカーランとなった。

それまではポールポジションスタートのMOTUL AUTECH Zがトップをキープ、2番手スタートのNiterra MOTUL Zが2位、そして8番手スタートの#100 STANLEY NSX-GT(山本尚貴/牧野任祐)が大きく順位を上げ3位につけていた。

しかしタイヤ交換で大きく順位はシャッフルされ、STANLEY NSX-GTがトップ。2位はDeloitte TOM'S GR Supraで、それまでトップだったMOTUL AUTECH Zが3位となった。2位だったNiterra MOTUL Zに関しては最後尾の15位までダウン。フロントロースタートから13ポジションを失った。

リスタートは23周目。路面はかなり濡れている。MOTUL AUTECH Zがこの路面状況に合わず次々と順位を下げ16周目には7位まで後退。逆に10番手スタートから4位まで順位を上げていた#36 au TOM'S GR Supra(坪井翔/宮田莉朋)はリスタート直後から次々とオーバーテイクを決め、28周目にはトップに立っていた。この時点で路面は徐々に乾き始め、7位まで後退していたMOTUL AUTECH Zは29周目に3位まで復活。このように目まぐるしく変わる路面状況によって、大きな順位変動が起こる展開となった。

29周目、2位Deloitte TOM'S GR Supraと4位STANLEY NSX-GTにピットストップ60秒のペナルティが出された。両車ともピット入口がクローズされた状態でピットインしたとの判定。これにより1周以上遅れを取ることとなり、この2台は上位争いから脱落した。

乾き始めた路面で勢いを取り戻したMOTUL AUTECH Zは41周目にトップを奪還。この頃からドライタイヤに交換するマシンが出始め、MOTUL AUTECH Zは45周目にピットインし、そのままトップをキープしてコースに復帰した。

48周目、ヘアピンでアクシデントが発生しFCYが導入された。雨の量も増え、スロー走行中にも関わらずスピンを喫するマシンが続出。51周目にはクラッシュも発生し、このタイミングでトップMOTUL AUTECH Zはセフティーカーの導入と雨脚が強くなることを予想してピットに飛び込み、ウエットタイヤに交換して6位でコースに復帰した。

この予想は的中しすぐにセフティーカーが導入された。その後、サーキット近くで落雷があり、マシンの回収が進まない状況に。そのため54周目にレッドフラッグが提示されレースは一時中断となった。

この時点の順位はトップがau TOM'S GR Supra。1回目のタイヤ交換で最後尾まで落ちていたNiterra MOTUL Zが2位まで挽回していた。3位はENEOS X PRIME GR Supra。4位はシャシー交換のペナルティで最後尾からの追い上げとなった#8 ARTA MUGEN NSX-GT。4位・5位はともにウエットタイヤを履いている#16 ARTA MUGEN NSX-GT(福住仁嶺/大津弘樹)とMOTUL AUTECH Zの順となっている。しかし#16 ARTA MUGEN NSX-GTは規定のドライバー交代を行っていないためピットに戻りレース再開を待つため、全車がスタートしてからピットを出ることになる。

56周目からセフティーカー先導でレースが再開された。ドライタイヤを履いているマシンが1周後に全車ピットインしてウエットタイヤに交換。これでMOTUL AUTECH Zがトップに立った。Niterra MOTUL Zが2位でコースに復帰。#8 ARTA MUGEN NSX-GTが3位。ENEOS X PRIME GR Supraが4位となった。トップに立っていたau TOM'S GR Supraはタイヤが脱落。走行を続けられずにリタイヤとなった。

60周目、セフティーカーラン終了の合図があり61周目からバトル開始となるはずだったが、そのラップでタイヤが脱落したマシンが現れ、さらにセフティーカーラン延長となった。そして2度目のレッドフラッグが振られ、レースは中断となった。

レースの最大延長時間10分前にレッドフラッグは解除され、セフティーカー先導でレースは再開した。しかし今度はまともに走行できないマシンが現れ、そのマシンにセフティーカーが追いついてしまう事態に。さらには雨も激しくなったために3度目のレッドフラッグが振られ、81周のレースは61周で打ち切りとなった。

優勝したのはポールポジションからスタートし、一度は7位まで順位を落としたMOTUL AUTECH Zで、2021年第3戦鈴鹿以来2年ぶりの優勝。松田は通算24回目、クインタレッリは通算18回目の優勝を飾った。

2位は一時最後尾まで下がりながらも挽回してきたNiterra MOTUL Zでニスモチームの1-2。3位もペナルティで最後尾からの追い上げとなった#8 ARTA MUGEN NSX-GTという表彰台となった。

次戦、SUPER GT第2戦は5月3日・4日の日程で富士スピードウェイを舞台に開催される。

■GT300クラス
GT300クラスはポールポジションの#65 LEON PYRAMID AMG(蒲生尚弥/篠原拓朗)が逃げ、38周目には後続に20秒以上の差をつけていた。しかし18番手スタートから上手いピット戦略を見せた#18 UPGARAGE NSX GT3(小林崇志/小出峻)が43周目にトップに浮上。そのまま優勝を飾り、小出峻はデビューウィンとなった。

LEON PYRAMID AMGは終始速さを見せながらも、大混乱となった展開に翻弄され2位。3位は#244 HACHI-ICHI GR Supra GT(佐藤公哉/三宅淳詞)の結果となった。

■SUPER GT第1戦岡山、GT500クラス決勝結果(トップ10)
1. #23 MOTUL AUTECH Z(松田次生/ロニー・クインタレッリ)
2. #3 Niterra MOTUL Z(千代勝正/高星明誠)
3. #8 ARTA MUGEN NSX-GT(野尻智紀/大湯都史樹)
4. #14 ENEOS X PRIME GR Supra(大嶋和也/山下健太)
5. #38 ZENT CERUMO GR Supra(立川祐路/石浦宏明)
6. #1 MARELLI IMPUL Z(平峰一貴/ベルトラン・バゲット)
7. #17 Astemo NSX-GT(塚越広大/松下信治)
8. #39 DENSO KOBELCO SARD GR Supra(関口雄飛/中山雄一)
9. #19 WedsSport ADVAN GR Supra(国本雄資/阪口晴南)
10. #64 Modulo NSX-GT(伊沢拓也/太田格之進)

■SUPER GT第1戦岡山、GT300クラス決勝結果(トップ10)
1. #18 UPGARAGE NSX GT3(小林崇志/小出峻)
2. #65 LEON PYRAMID AMG(蒲生尚弥/篠原拓朗)
3. #244 HACHI-ICHI GR Supra GT(佐藤公哉/三宅淳詞)
4. #27 Yogibo NSX GT3(岩澤優吾/伊東黎明)
5. #52 埼玉トヨペットGB GR Supra GT(吉田広樹/川合孝汰)
6. #7 Studie BMW M4(荒聖治/ブルーノ・スペングラー)
7. #87 Bamboo Airways ランボルギーニ GT3(松浦孝亮/坂口夏月)
8. #60 Syntium LMcorsa GR Supra GT(吉本大樹/河野駿佑)
9. #4 グッドスマイル 初音ミク AMG(谷口信輝/片岡龍也)
10. #56 リアライズ日産メカニックチャレンジGT-R(JP・デ・オリベイラ/名取鉄平)

GT500クラス表彰式《撮影 益田和久》 GT500クラス2位の#3 Niterra MOTUL Z(千代勝正/高星明誠)《撮影 益田和久》 GT500クラス3位の#8 ARTA MUGEN NSX-GT(野尻智紀/大湯都史樹)《撮影 益田和久》 GT500クラス4位の#14 ENEOS X PRIME GR Supra(大嶋和也/山下健太)《撮影 益田和久》 勝負の決め手となったピットストップの様子。写真は#3 Niterra MOTUL Z《撮影 益田和久》 GT500クラススタートシーン《撮影 益田和久》 GT300クラス表彰式《撮影 益田和久》 GT300クラス優勝の#18 UPGARAGE NSX GT3(小林崇志/小出峻)《撮影 益田和久》 GT300クラス2位の#65 LEON PYRAMID AMG(蒲生尚弥/篠原拓朗)《撮影 益田和久》 GT300クラス3位の#244 HACHI-ICHI GR Supra GT(佐藤公哉/三宅淳詞)《撮影 益田和久》