ベルリング「青い救急車」《写真撮影 中野英幸》

救急車が現場に到着する時間の全国平均は、22年前の2001年は約6.2分。技術の進歩で現場到着時間は短くなってると思いきや、実は1.5倍の約9.4分と、20年前よりも3分も遅れて救急車がやってくるという現状に、DMM.comグループのベルリングが、課題解決への一手を打ち出した。

◆それが、優先意識向上を啓発するコンセプトカー「青い救急車」
もともとベルリングは、トヨタ『ハイエース』ベースの新型救急車「C-CABIN」を2020年に開発し市場にリリース。赤色灯の発光範囲を広げる設計や、サイレンの音がより広範囲に聞こえるように設計し、救急車の円滑な緊急走行の実現をめざしてきた。そこにまた新たな課題、「人によっては濃い赤色は非常に暗い色に感じるため、赤色灯自体を視認しづらい方もいる」といった声が救急隊員があがったという。

実際のデータでもこうした事実が裏付けられている。ベルリングの発表では、日本人男性の20人に1人、女性の500人に1人が色弱と診断され、その多くが赤の光を感じづらいP型、緑の光を感じづらいD型という。そこでベルリングは、こうした救急車をはじめとする緊急車両への優先意識向上を呼びかけるべく、色弱者でも暗く感じにくい青色をベースカラーとし、道路上でも目立つデザインのコンセプトカー「青い救急車」を制作し、そのプロトタイプを東京の渋谷ストリーム稲荷橋広場で4月7・8日に公開。まずは民間救急車への導入をめざすという。

◆青空に白い雲のラッピング、CUDマークも取得
青い救急車といっても、真っ青ではなく、青空にただよう白い雲を想像させる外観。デザインは、青色を作品に多く使用することでも知られるアーティストの山口歴氏が担当。「青空に浮かぶ雲をイメージしてデザインし、救急車に落とし込んでいます。このデザインで本当の意味で少しでも人の役に立てれば幸いです」と山口氏。ちなみにこのカラーは塗装ではなくラッピングだ。

また、色弱者にも視認しやすい救急車のデザインを実現すべく、NPO法人カラーユニバーサルデザイン機構がデザインを検証。色の見え方の異なるさまざまな人に対し、わかりやすいデザインとなっていることを示す「CUDマーク」を取得した。

◆ベルリング 飯野塁 代表「民間用の救急車としての導入をめざす」
ベルリングの飯野塁代表取締役CEOは、今後の展開について「現行の法令により、緊急車両としての救急車の色には白色が指定されています。そのため青い救急車はまず初めに、緊急性が低い傷病者を搬送するための民間用の救急車としての導入をめざしています」とも伝えていた。

百聞は一見にしかず。4月7日14〜19時、4月8日11〜19時に、渋谷ストリーム稲荷橋広場で実車を展示中。この青い救急車を撮影し、「#青い救急車」「#ベルリング」をつけて撮影した画像を Twitter・Instagram・Facebook に投稿し、投稿画面をスタッフに見せると、オリジナルばんそうこうがもらえるから、気になる人は現場へゆっくり到着してみて。

ベルリング「青い救急車」《写真撮影 中野英幸》 ベルリング「青い救急車」《写真撮影 中野英幸》 ベルリング「青い救急車」《写真撮影 中野英幸》 ベルリング「青い救急車」発表《写真撮影 中野英幸》 「青い救急車」を発表するベルリングの飯野塁代表取締役CEO。《写真撮影 中野英幸》 ベルリングの飯野塁代表取締役CEO《写真撮影 中野英幸》 ベルリング「青い救急車」(向かって右)と同C-CABIN《写真撮影 中野英幸》 弱視体験ゴーグル越しに見た赤色灯(右側)。カメラでは緑がかって写るが、実際は赤い以外は普通に見える。赤がくすんだ暗い海老茶(葡萄茶)色に見えるだけでなく、赤色灯はLED光源のシルエットがわかる程度になる《写真撮影 中野英幸》