佐賀駅経由がベストとする国と佐賀空港経由を主張する佐賀県の対立は一層根深くなってきた。《写真提供 写真AC》

斉藤鉄夫国土交通大臣は2月14日に開かれた定例会見で、2月9日に佐賀県との間で行なわれた西九州新幹線の幅広い協議について記者の質問に答えた。

およそ1年ぶりに開かれた幅広い協議では、佐賀県が主張する佐賀空港経由の南回りルートについて難色を示す国側が「現地の状況に最も適しているシールドトンネルであっても、トンネルが場所によって異なる沈下をする懸念があるため、ミリ単位の軌道面の調整が必要となる新幹線の安全な運行に支障を生じさせるおそれがあることから、現実的な選択肢とはなり得ない」と述べた。

これについて佐賀県側から特段の意見はなかったものの、ルート選定よりも先に、佐賀県にとって新幹線にどのようなメリットがあるのかを国が示すべきであると主張。国はその点を一緒に考えるべきだとしたが、佐賀県は反発。「新幹線は必要ない」とまで述べ、協議は物別れに終わったという。

これについて斉藤大臣は「九州地域、西日本地域の未来にとってどのような整備のあり方が望ましいか、議論を積み重ねていきたい、一緒に地域の方々と考えていきたい」と述べているが、「未来」という言葉については「短い未来ではなく遠い未来も入っている」として、長期的な視点で議論を進める考えを暗に示している。

武雄温泉〜長崎間を運行中の西九州新幹線『かもめ』用N700S。《写真提供 九州旅客鉄道》