トラック用の電動トルクレンチ《写真撮影 中尾真二》

見た目は電動インパクトレンチかと思ったら、電動トルクレンチだった。HYTORC(ハイトーク)の日本法人であるユネックスのブースは、大型車両や重機などにも使える電動トルクレンチが展示されていた(ジャパントラックショー2022)。

電動式だがリチウムイオンバッテリーを利用するので、もちろんコードレスだ。バッテリーは18Vと36Vのモデルがあり、締め付けトルクはモデルごとに異なる。小型では202〜945Nmまで対応するものから1085〜6779Nmまで対応する大型モデルまでラインナップされている。トルク設定は1Nm単位。締め付けトルクの設定や測定値は、スピードガンのように本体後ろに取り付けられた液晶ディスプレイとボタンで行う。

スマホアプリも用意され、本体とはBTによってつながる。この場合、アプリからトルクの設定や測定も可能だ。ボルトごとに規定値トルクになったかを確認することもできる。

HYTORCは、油圧式トルクレンチやエアートルクレンチなども扱うトルクレンチの老舗だ。トルクレンチ以外では特殊なナット(グリップタイトナット)も興味深い。このナットは、締め付け反力を抑える治具がワッシャとしてナットと一体化している。

電動トルクレンチなどは、締め付け時の反力によって本体が逆回転方向に動いてしまい、正確なトルクが測りにくい。そのため、となりのボルトなどを支柱として反力を抑える治具がついたアダプターといっしょに使う。グリップタイトナットでは、ボルトと同軸のナット+特殊ワッシャにより普通の円筒形のアダプターで正しい締め付けが可能だ。治具を使う方式はその固定方法によって締め付けトルクに誤差が生じやすい。グリップタイトナットならば締め付けするボルトとナットを基準とするため、より正確な締め付けが可能だ。

アプリはナットごとの締め付け状態をモニタしたり、記録をとったりが可能《写真撮影 中尾真二》 トルクの調整や測定値を確認するコンソール《写真撮影 中尾真二》 通常電動トルクレンチはこのような治具を使う《写真撮影 中尾真二》 HYTORCの電動トルクレンチ:見た目はバッテリー式のインパクトレンチだが、作動音は静か《写真撮影 中尾真二》 電動トルクレンチでも治具がいらない特殊ナット《写真撮影 中尾真二》 ワッシャが特殊形状で、締め付けるアダプタもこれに合わせたものになる。ワッシャの凹凸が反力を受け止める《写真撮影 中尾真二》 重機の履帯整備にも使える強力タイプ《写真撮影 中尾真二》 HYTORCの電動トルクレンチ《写真撮影 中尾真二》 ユネックスのブース《写真撮影 中尾真二》