マレリグループのサプライヤー数(業種別)《図版提供 帝国データバンク》

自動車部品大手のマレリホールディングスが、経営再建に向けて私的整理である事業再生ADRを活用する方針が報じられた。これを受け、帝国データバンクはマレリグループのサプライヤーに関する緊急調査を実施した。

帝国データバンクが、同社の保有する企業データベースを基に、マレリのほか、同社グループの製造5社を対象に調査を実施。直接取引(ティア1)・間接取引(ティア2)のある企業は全国に3万7965社あることが判明した。

業種別で最も多かったのが「製造業」で1万3581社だった。成形用の金型、同部品の製造や設計を手掛ける「金型・同部分品・付属品製造」や、「金属プレス製品製造」、「工業用プラスチック製品製造」など、熱交換器などマレリグループの製品に多く使用される原材料となる、金属やプラスチック製品などの素材・加工メーカーが多かった。次いで「卸売業」(7983社)、「サービス業」(6854社)が続いた。卸売業では「電気機械器具卸売業」(1261社)、サービス業は「受託開発ソフトウェア」(1220社)などが多かった。

エリア別では、最も多いのは「首都圏(東京・埼玉・千葉・神奈川)」の1万4261社となり、全体の約4割を占めた。東京都が多くを占めるものの、マレリや同社の関連企業、製造拠点が多い埼玉県・神奈川県などに多く集中している。マレリが2020年に新設した東海工場(愛知県岡崎市)がある「中部」(5936社)、愛知県など東海地区の自動車メーカー向けに部品などを供給する企業が多く存在する「近畿」(6888社)なども多かった。このほか、同社の群馬工場がある「北関東(茨城・栃木・群馬)」は2393社、グループ会社の拠点がある「東北」(1494社)、「九州・沖縄」(3135社)などでも多い。

マレリホールディングスは事業再生ADRを活用する方針だが、今後の具体的なスケジュールや支援について公表していない。事業再生ADRは主に取引金融機関に対し借入金の返済猶予や債権放棄等を求めることによって再建を目指すもので、事業や雇用、商取引(得意先、仕入先等)は原則として継続される。そのため、サプライヤーや工場等がある地域への悪影響はひとまずないと見られる。しかし帝国データバンクでは、正式な申請となれば今後進められる手続きの中で、事業再生計画案のなかにどのような経営改善施策を盛り込んで、取引金融機関から合意を得られるかがポイントとなるとしている。

マレリグループのサプライヤー、エリア別社数《図版提供 帝国データバンク》 マレリグループのサプライヤー、エリア別社数《図版提供 帝国データバンク》