ダチア・サンデロ《photo by Dacia》

ルーマニアの自動車メーカー、ダチア。創業は1966年だが、99年に、創業からしばらくの間ライセンス生産で縁のあった、フランスのルノーの傘下に入った。日本の日産自動車とちょうど同時期だ。

ルノー傘下入りしてからのダチアは新興国市場の攻略を主眼とする低価格ブランドと位置づけられたが、新興国ビジネスはあまりうまくいかなかった。ところが2009年を境に、ルノーの当初の思惑とはまったく異なるヨーロッパ市場で想定外の快進撃を見せはじめた。原動力となったのは2008年登場の『サンデロ』と、2010年登場の『ダスター』の2モデルである。

サンデロは全長4m級のBセグメントサブコンパクト、ダスターは全長4.3m級のSUVだが、両モデルに共通しているのはそれぞれのクラスにおいて、ライバルに対して価格が飛び抜けて安いということだ。たとえばサンデロのスターティングプライスはエアコンを装備しても1万ユーロ(132万円@1ユーロ=132円)を少し超えるくらいというところだ。

が、安ければ売れるというのであれば他のブランドでももっと成功例があってもいいはず。実際、ダチアはこの2モデルよりさらに割安な実用商品も作っているが、それらは大して売れていない。サンデロとダスターが売れたのはその安さのわりに性能やデザイン性が良く、そこにユーザーが飛びついたということが大きかったものと考えられる。

サンデロは、2020年にデビューした第3世代が最低地上高200mmのクロスオーバーSUVタイプをラインナップに入れたこともあって人気が沸騰し、2021年には7月、8月と2カ月連続でヨーロッパ市場の乗用車全カテゴリーの中で販売首位に立った。SUVのダスターは現在第2世代だが、第1世代の頃から価格、デザイン、オフロード走破性の三拍子が揃ったモデルとして人気を博し、2014年頃にはもう旧西欧圏でもその姿が路上にあふれていた。

ダチア車はルノー=日産アライアンスの他の新興国モデルと同様、ルノーと日産の技術の持ち寄りで作られている。ターボガソリン、尿素SCRによる排出ガス浄化装置付きディーゼル、日産の電子制御駆動力配分4WDシステムといった投入技術は、価格帯に比して価値のあるものが目立つ。その点、ダチアの成功は日本のスズキに似ていると言える。電動化や先進安全システムの盛り込みなど今後取り組まなければならない課題は多いが、今後どれだけ権勢を拡大できるかが大いに注目されるところだろう。

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