JEITAの網川智会長《写真提供 JEITA》

電子情報技術産業協会(JEITA)は6月3日に会見を開き、東芝の綱川智会長兼社長がソニーグループの石塚茂樹副会長の後を受けて新会長に就任したと発表。併せて綱川新会長が会見を行い、「グリーン×デジタルは率先して取り組む事業の1丁目1番地」と強調した。

冒頭の挨拶で「もはや『ビフォーコロナ』の社会に戻れない」と述べた綱川新会長は、JEITAという業界団体がここ数年で大きく変化していることを強調した。というのも、2017年に会員制度に関する定款変更とベンチャー優遇特例制度を創設したことにより、会員企業がIT・エレクトロニクス業界のメーカー以外にも広がったからだ。

「いまやJEITAは、電子部品や電子デバイス、電子機器やITソリューション・サービスに留まらず、それらを中核として、他の製造業やサービス産業を含む、あらゆる産業を常げるプラットフォームのような団体になりつつある。今後注力すべきは、広範な分野の企業の参画を得て、異なる知見や技術を持ったもの同士が連携し、業界を超えた課題解決や新たな価値をともに創り出す『共創』を推進することだと認識している」と綱川新会長は説明する。

その課題解決の第一にあげたのが「カーボンニュートラル」だ。いまやカーボンニュートラルは世界的に広がり、その対応次第で企業は市場からの退出も強いられる結果にもなりかねない状況になりつつある。そこで大事になってくるのは、工場やオフィスなどでデジタルをフル活用することによって、エネルギーの有効活用のみならず、産業・企業の活動全体を最適することがポイントだという。そこで、JEITAでは、「グリーン×デジタル」に率先して取り組むことにした。

「2021年度中をメドに、デジタル技術を使った脱炭素に向けた議論を行うための横断的な新たな組織、グリーン×デジタルのコンソシーアムを加盟する企業で設立する」と綱川新会長。詳細についてはこれから詰めていくそうだが、5月1日付で事務局内に「グリーンデジタル室」を設置し、専任の職員も配置したという。

「この新組織が既存の製品や市場の脱炭素化に向けた取り組みの司令塔となり、ルールや規制など、デジタルを使った新たな今後の市場の在り方の議論を行っていく」と綱川新会長は説明する。

また、供給不足に陥っている半導体については、今後も逼迫状況が続くと見ており、技術開発はもちろんのこと、半導体ユーザー企業や関連産業とのコミュニケーションや連携を図りつつ、サプライチェーンの強化などに取り組んでいくとした。