カーボン繊維強化したウルトラミッド アドバンスト《写真提供 BASF》

BASFは、カーボン繊維を20〜40%強化したエンジニアリングプラスチック「ウルトラミッド アドバンスト」を新たに追加し、ポリフタルアミド(PPA)のポートフォリオを拡充する。

これら新素材により、部品の超軽量化を実現。導電性を備えているため剛性と強度を失うことなく、安全にアルミニウムやマグネシウムとの代替が可能になる。さらに、既存のウルトラミッド アドバンストN(PA9T)の特長である、低吸水性による寸法安定性や、優れた耐薬品性と耐加水分解性、高強度かつ高弾性も持ち、一般的なカーボン繊維強化PPAの中でもユニークなものとなっている。

ウルトラミッド アドバンストは、ボディ、シャーシ、パワートレイン、ポンプ、ファン、ギア、コンプレッサなどの自動車構成部品や、家庭用製品の超軽量部品の製造に使用可能。BASFはこの製品により、50を超えるグレードをもつPPAポートフォリオをさらに拡充する。

カーボン繊維で強化されたウルトラミッド アドバンストの機械的性能は、カーボン繊維の含有量と添加剤によって調整可能。例えばカーボン繊維含有量40%のウルトラミッド アドバンスト N3HC8は、マグネシウムやアルミニウムよりも80度(条件付き)にて優れた強度と弾性率を示している。


また、BASFのシミュレーションツール「ウルトラシム」を用いることで金型流動解析と成形部品に最適な金型の開発が可能。ウルトラミッド アドバンスト CFグレードは、さまざまな産業にて機能性の統合と軽量化を実現する。構造部品やパワートレイン部品を軽量化することで、電気自動車(EV)や燃料電池車(FCV)の航続距離を伸ばすことができる。また、高剛性かつ高強度、優れた寸法安定性、超軽量性と加工性などの利点から、家庭用電子機器の軽量で薄型の精密構造に貢献。さらに、寸法安定性、耐薬品性、耐熱性、耐摩耗性にも優れているため、ポンプやコンプレッサのような、重量があり、高負荷で使用期間が長い産業機器の製造にも最適だ。

カーボン繊維で強化されたPPA化合物は、ガラス繊維強化ポリアミド(PA)よりも軽量で高い引張弾性率を持つ。カーボン繊維を20wt%強化したPPAグレードは、ガラス繊維50%充填したPA6やPA66よりも約20%軽量。また、カーボン繊維強化20%のウルトラミッド アドバンストの引張強さは、ガラス繊維を50%充填された強化ポリアミドと同等以上で、優れた加工性を示している。ウルトラミッド アドバンスト(N3HC8)は、高温下でのエージングも安定。120度で5000時間、また150度で3000時間のヒートエージング後でも、引張弾性率をほぼ100%維持している。