ディスクブレーキ《画像提供 曙ブレーキ工業》

経営再建中の曙ブレーキ工業は2月16日、自動車用ブレーキ製品の検査データを改ざんするなどの不正が発覚したと発表した。

同社は事業再生ADRを申請、成立して2019年10月に新しい経営体制に移行した。同年11月に品質保証部門から社長に対して、子会社の曙ブレーキ山形製造が、ブレーキパッドの一部について、顧客に提出する定期検査報告書の数値を改ざんしていたとの報告があった。これを受けて社内調査を開始したところ、一部納入先から、曙ブレーキ岩槻が製造するディスクブレーキの定期検査報告書に不審なデータが記載されているとの指摘を受けた。

このため新経営陣は、3月中旬の取締役会で、社外弁護士で構成する特別調査委員会を設置し、調査を開始した。この結果、トヨタ自動車や日産自動車など、完成車メーカー10社に納入したディスクブレーキやパッド、ドラムブレーキ、ライニングで、検査データの改ざんや、要求されている検査サンプル数の省力などの不正が行われていた。判明した最も古いものは2001年1月で、約20年にわたって不正が行われていた。

定期報告データ総件数19万2213件のうち、不正があった報告データは11万4271件。そのほとんどが納入先との合意に基づく管理値の範囲内だったとしており、4931件が自動車メーカーが設定していた基準値を外れていた。曙ブレーキでは、対象製品の日常検査による管理データ記録の解析、試験によるデータの検証を実施、対象製品の性能に問題ないと判断し、リコールなどの市場措置は実施しない。

自動車メーカーには順次、事実関係を説明するとともに、対象製品について協議、評価・検証し、2021年1月末に完了したとしている。

同社では、特別調査委員会から提言された、組織体制の見直し・監査機能の強化、生産設備見直しとITシステム導入、教育研修によるコンプライアンス強化、組織風土改革などの再発防止の具体的計画を策定し、取り組みを開始したとしている。

ディスクブレーキ構成部品《画像提供 曙ブレーキ工業》 ドラムブレーキ《画像提供 曙ブレーキ工業》 ドラムブレーキ構成部品