三井化学株式会社 代表取締役社長執行役員 橋本 修氏《写真提供 三井化学》

11月26日、三井化学は経営概況説明会をオンラインで開催した。橋本修社長は2020年度の連結業績見通しについて、営業利益が500億円と前年度と比較して約30%以上減少することを明らかにした。

一方で下期ではコロナウイルスの影響が残るものの、当期利益については、19年度下期なみの利益を確保することを発表した。「コロナウイルスの影響で自動車の減産、施策案件延期の影響を受けたことで、モビリティ事業が大幅に減益した。一方、20年度後半はグローバルでの自動車生産の回復基調によって好転する見込み。また、ICT用途の基盤素材事業については、半導体やセンシング関連の需要が増加し堅調。」と話す。

モビリティ事業の営業利益は前年度の431億円から191億円(44%)減少の240億円、そして基盤素材事業は同94億円から124億円(24%)減少して30億円の営業赤字の見込みだ。

CASE関連のICT製品はコロナウイルスの影響があるものの、5Gや電装化への対応を見込んでのニーズが多く非常に堅調。ただし、グローバルな自動車生産減少の影響が大きく、早期回復の中国、新規立上げの欧州以外で大幅な減販となった。加えて、開発案件の後ろ倒しによるソリューション事業の大幅減販がモビリティ事業の減益の大きな要因であるとのこと。

PPコンパウンド事業についても回復基調であるとのこと。「特に中国工場では需要増から+15%の勢いで稼働している。北米と欧州を中心に回復基調で、世界的に自動車生産が再開されていることから、全拠点での生産を再開している。」と橋本社長は説明した。

また、20年度以降の投資案件について、「モビリティ事業での大きな投資が一段落し、21年度以降で本格的に回収のフェーズへと移行する。アーク社の完全子会社化によるソリューション強化を筆頭に、当期で本州科学へのTOBを行った。狙いとして、基盤素材事業のポートフォリオを拡充することで、今後の5GやICT需要に対応できる次期強化ドメインとする。」とのことだ。

今後のモビリティ事業の見通しとして、「足元はコロナウイルスの影響を大きく受けたことは間違いない。ただしマーケット全体を見ると、軽量化需要のさらなる増加、電装化の変革の波が来ていることから、三井化学としてはむしろ好機だと捉えている。また、PPコンパウンドなどの構造材は自動車において不可欠な素材であるので、今後も堅調に推移していく見込みだ。」と橋本社長は前向きに語っていた。

三井化学 経営概況説明会《写真提供 三井化学》 三井化学 経営概況説明会《写真提供 三井化学》 三井化学 経営概況説明会《写真提供 三井化学》 三井化学 経営概況説明会《写真提供 三井化学》 三井化学 経営概況説明会《写真提供 三井化学》