デジタルキープラットフォームの概要とDNPの提供範囲《画像提供 大日本印刷》

大日本印刷(DNP)は10月12日、スマートフォンで自動車の施錠・解錠を行うデジタルキーの配信・管理のためのプラットフォームを提供すると発表した。

DNPは、ICカード事業で培った情報セキュリティ関連の技術・ノウハウを活かし、業界横断の団体カーコネクティビティ コンソーシアム(CCC)が策定するグローバルな標準仕様に準拠した、安全なプラットフォームを提供する。同プラットフォームでは、「デジタルキー用のサーバー構築・運用」「車載機のNFCデバイスやセキュアエレメントの開発・提供、車載ソフトウェアの開発支援」「スマートフォン用デジタルキーライブラリの開発・提供」「バックアップキー用ICカードの開発・製造・提供」の4機能を提供。デジタルキーで重要な暗号鍵や電子証明書を生成し、安全・安心に車載機やスマートフォンなどに配信する。

具体的には、高セキュリティなDNPのデータセンターで暗号鍵や電子証明書等の重要データを生成・発行する。暗号鍵はデータセンター内で厳重に管理し、車載機に書き込むデータを製造工場に安全に配信する仕組みを提供。個人情報の安全な取り扱いとデジタルキーの利用状態を管理した上で、車載機やスマートフォンに対し、遠隔で安全に電子証明書等の更新データを配信する。

車載機用のセキュアエレメント(セキュリティ機能がある半導体製品)はCCC準拠のアプリケーションを搭載し、車載機側での複雑な処理は不要。デジタルキーを含む各種サービスのトラストアンカー(電子的な認証手続きの基点)として利用できる。また、NFCのリーダに搭載するアンテナのチューニングや回路形成等のノウハウを基に、ドアハンドル以外にも実装可能な多様な形状のNFCモジュールを提供。さらにNFCとワイヤレス充電器Qi(チー)の一体型モジュールの提供も検討していく。

そのほか、DNPの本人確認(eKYC)や決済関連サービスなどと本プラットフォームを組み合わせることで、セキュリティと利便性を両立させたサービスもオプションとして提供する。

DNPではまず、2020年10月から自動車メーカーやデジタルキー用車載機メーカーなどに開発環境を提供し、2023年頃を目処に共同利用可能なデジタルキーセンターを構築。同プラットフォームと関連サービスで、2025年度に10億円、2030年度に累計84億円の売上を目指す。また、自動車デジタルキー用の車載セキュアエレメント、バックアップキーとして利用可能なICカードの提供も順次開始し、レンタカーやカーシェアリングなどのMaaSの拡大やスマートシティの実現を推進していく。