特許を申請すると、別の特許を引用して新たな特許が拒絶されることがある。このような、拒絶理由として引用された特許件数の多い企業には「他社牽制力」がある。パテント・リザルトによると、2019年の自動車部品業界で他社牽制力ランキング1位はデンソーだった。
パテント・リザルトは、独自に分類した自動車部品業界の企業を対象に、2019年に他社特許への拒絶理由として引用された特許件数を企業別に集計した、『自動車部品業界 他社牽制力ランキング2019』をまとめ、7月20日に発表した。
パテント・リザルトの集計の結果、自動車部品業界で2019年に特許が引用された企業トップ3は、デンソー、住友電装、日立オートモティブシステムズとなった。引用されたデンソーの特許数は5211で、2位住友電装1057の約5倍だ。3位日立オートモティブシステムズは975。これらの企業は技術開発において、競合他社が権利化するときに阻害要因となる、先行技術を多数保有している先進的な企業といえる。
●1位:デンソー
最も引用された特許は「車両用情報提供装置」に関する技術だ。トヨタ自動車の5件、本田技研工業の2件など、計10件の審査過程で引用された。このほかには、ADEKAとの共同出願である「非水電解液二次電池電極用バインダー」に関する技術も拒絶理由として引用された件数が多い。
デンソーの特許によって影響を受けた件数が最も多い企業は、トヨタ自動車(309件)だ。次いで三菱電機(233件)、本田技研工業(209件)となっている。
●2位:住友電装
最も引用された特許は「自動車用制御装置」に関する技術で、矢崎総業の「車両用電気接続装置」と「車両用回路体」など、計6件の審査過程において引用された。ほかには「導電線、導電線の製造方法及び導電線の配索構造」に関する技術や「通信システム及び中継装置」に関する技術などの特許で、引用が多い。
住友電装の特許によって影響を受けた件数が最も多い企業は、矢崎総業(247件)、次いでトヨタ自動車(45件)、デンソー(38件)と続く。
●3位:日立オートモティブシステムズ
最も引用された特許は「走行制御装置、車載用表示装置、及び走行制御システム」に関する技術で、デンソーの「車両制御装置」関連特許など、計8件の審査過程において引用された。
日立オートモティブシステムズの特許によって影響を受けた件数が最も多い企業はデンソー(125件)で、以下トヨタ自動車(67件)、本田技研工業(54件)の順。
4位の矢崎総業は「聞き逃しの可能性を減じることができる車両内の警報装置」、5位のアイシン精機は「両手が塞がっていても、選択的に開作動できる車両用開閉体作動装置」が、最も引用された特許だ。
なおランキングの集計対象は、日本特許庁に特許出願され、2019年12月までに公開されたすべての特許のうち、2019年1月から12月末までの期間に拒絶理由(拒絶理由通知または拒絶査定)として引用された特許を抽出した。
パテント・リザルトでは、このランキングの詳細データを販売している(価格:税抜き5万円)。
特許で見る「他社牽制力」ランキング…自動車部品業界1位はデンソー 2019年
2020年07月20日(月) 08時30分
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