自動車用V2X (Vehicle-to-Everything) の市場規模予想《出典 グローバルインフォメーション》

自動車用V2X(Vehicle-to-Everything)市場規模は、2020年の6億8900万米ドル=約747億3000万円から2028年には128億5900万米ドル=約1兆3951億円に達するという。18.7倍の成長だ。これは市場調査会社のグローバルインフォメーションの予想だ。

CAGR(年平均成長率)は44.2%になると予測される。5G技術の進歩と、交通渋滞による燃料消費と時間浪費への対策が、V2X技術を後押しするという。

グローバルインフォメーションは、市場調査レポート『自動車用V2X (Vehicle-to-Everything) の世界市場 - 2028年までの予測:V2V、V2I、V2P、V2G、V2C、V2D』の販売を5月29日より開始した。以下、レポート概要。

●セルラー部門は急速に成長

グローバルインフォメーションは、V2Xの中でもセルラー部門が急速に成長すると予測する。5G技術の進歩により5G-V2Xの採用が可能になったからだ。5G技術は、サイバーセキュリティや、混雑したトラフィック環境でのメッセージ処理などに優れる。さらに、ハードウェア・コンポーネントのコスト面での利点も市場を拡大させるという。

DSRC(狭域通信)部門では、V2P(Vehicle to Pedestrian、自動車対歩行者)通信を行なうためには、追加のハードウェア・コンポーネントが必要となり、C-V2X(セルラーV2X)と比較して高価になる。2019年1月には、アウディ、ドゥカティ、フォードモーターがC-V2Xの技術を実証した。このような展開から、C-V2X技術の採用の加速が推測される。

●V2V部門は通信別で最大シェア

グローバルインフォメーションは、車載用V2X市場では、V2V(Vehicle to Vehicle、自動車対自動車)通信部門が最大のシェアを占めると予想する。V2Vは、前方衝突警告(FCW)や車線変更警告(LCW)などの機能を通じて、車両の安全性を向上させる技術だ。

交通事故の増加に対する安全への関心の高まりと当局の対応は、V2V市場の成長の原動力となっている。V2V技術を搭載した車種としてキャデラック『CTS』やメルセデスベンツ『Eクラス』などがあげられる。

●欧州が最大の市場規模を占める

欧州は車載用V2X最大の市場になると予想される。インフラが整備されている欧州ではV2Xの導入が容易だからだ。また、ボッシュ、コンチネンタル、デルファイなどのトッププレーヤーの存在は、ヨーロッパのV2X市場に大きな影響を与えるだろう。フランスやドイツなどでは、5GAA、BMWグループ、フォードモーター、PSAグループなどがクアルコムやサヴァリと提携し、C-V2X通信を展開しているという。

グローバルインフォメーションはV2X市場の主なプレーヤーとして、ボッシュ(ドイツ)、コンチネンタル(ドイツ)、クアルコム(アメリカ)、オートトークス(イスラエル)、デルファイ(イギリス)などをあげる。

キャデラックCTS。すでに生産終了となっている模様。《photo by GM》 キャデラックCTS《photo by GM》 メルセデスベンツEクラス《photo by Daimler》 メルセデスベンツEクラス《photo by Daimler》