ポールを獲得した#8 トヨタの(左から)ハートレー、ブエミ、中嶋一貴。《写真提供 TOYOTA》

5日、世界耐久選手権(WEC)2019/2020シーズン第2戦の公式予選が富士スピードウェイで実施され、LMP1クラスのトヨタ勢が1-2位独占を果たした。ポールポジションは8号車「TS050 HYBRID」の中嶋一貴組が獲得。一貴は個人最速の1分24秒822をマークしている。

好天のもとで迎えた予選セッションは、まずLMGTEカテゴリー(LMGTE-ProクラスとLMGTE-Amクラス)の予選があり、続いてLMPカテゴリー(LMP1クラスとLMP2クラス)の予選が行なわれる流れ。順位は2人のドライバーのベストラップタイムの平均によって決定される(3人組の場合はそのうちの2人が予選を戦うかたちに)。

LMP1クラスのトヨタ(TOYOTA GAZOO Racing)は1-2グリッド確保に成功した。今季からLMP1クラスにはサクセスハンデキャップという複雑な新制度が加わり、その初回適用となったのが今回の第2戦富士。シリーズ成績上位車にネガティブな効果を与える制度であり、開幕戦の成績が良かったトヨタ勢にそれが特に効いていることになるわけだが、8号車(中嶋一貴/S.ブエミ/B.ハートレー)が平均ベスト1分25秒013でトップ、7号車(小林可夢偉/M.コンウェイ/J-M.ロペス)が同1分25秒803で2位に続いた。

LMPカテゴリーの予選中には、セッション終盤に赤旗中断があった。この時点で7号車は2人目のアタッカーである可夢偉がまだ実質ノータイム。赤旗が出る前のタイムが4輪コースオフの判定で抹消されていたからだが、残り約3分半で予選セッションが再開されると、可夢偉はしっかりタイムを出し直して予選2位を確定させた。

サクセスハンデによってトヨタTS050 HYBRID勢とノンハイブリッドLMP1勢のタイム差も縮まってはいるようだが、この新制度、それ以上にトヨタ同士の“ガチ勝負”に影響をもたらしているのかもしれない。開幕戦2位でサクセスハンデが僚機ほど厳しくはない8号車の方が、今回は走行初日の金曜から(メニューの違い等はあっても)タイム的に常に先行してきている流れだ。

もちろん、だからといって簡単にポールを獲れるわけではない。8号車のメンバーが確実かつ順調な仕事をしたからこその“順当ポール”。まずは彼らが獲るべきものをしっかり獲ることに成功し、勝利へと前進した。

(トヨタ勢の予選出走者は8号車が一貴とハートレー、7号車がロペスと可夢偉)

#8 中嶋一貴のコメント
「富士でポールポジションを獲得でき、とても嬉しいです。TS050 HYBRIDのポテンシャルの全てを引き出し、ミスのないアタックができたと思います。予選開始前には、ノンハイブリッド勢がどれほどのタイムを出してくるか予測できなかったので心配もありました。それだけに、このポールポジションは格別です。ホームレースを最前列からスタートできるのは良いことですし、6時間そのポジションを守れるように頑張ります」

#7 小林可夢偉のコメント
「8号車のポールポジション獲得を祝福したいと思います。我々7号車もベストを尽くしましたが、課されたサクセスハンデキャップの影響で期待以上の結果にはなりませんでした。ポールポジションは難しいと分かっていたので、今日の結果は驚くことではないと思っています。最初の(自分の)アタックで4輪コースオフの判定をとられましたが、結果的に大きな問題にはならなかったので、予選の内容に満足しています」

予選3位はレベリオン・レーシングの1号車 レベリオンR13・ギブソン(B.セナ/G.メネゼス/N.ナト)、平均ベストタイムは1分26秒163だった。なお、LMPカテゴリーの予選における個人最速タイムは8号車トヨタの一貴がマークした1分24秒822となっている。

決勝6時間レースは、6日の午前11時開始予定だ。

#8 トヨタTS050(中嶋一貴組)《写真提供 TOYOTA》 #8 トヨタTS050(中嶋一貴組)《写真提供 TOYOTA》 #7 トヨタTS050(小林可夢偉組)《写真提供 TOYOTA》 #7 トヨタTS050(小林可夢偉組)《写真提供 TOYOTA》 前季シリーズ王者トヨタ陣営にとっては、負けられない“凱旋レーズ”だ。《写真提供 TOYOTA》 トヨタはルマン24時間レースを2連覇中。WEC富士は過去7年で6勝。《写真提供 TOYOTA》 日本名物(?)のサーキットサファリ。《写真提供 TOYOTA》