自動運転車両による商品の配送《画像:SBドライブ》

北海道上士幌町、Japan Innovation Challenge実行委員会(TKF)、SBドライブおよびMaaSテックジャパンは、経済産業省および国土交通省が推進する、新しいモビリティーサービスの社会実装に挑戦する地域などを応援するプロジェクト「スマートモビリティチャレンジ」の一環として、「生涯活躍のまち上士幌MaaSプロジェクト」を10月5日から開始する。

東京23区を超える約700平方kmの面積を持つ上士幌町では、市街中心部や農村地域にて主に高齢者などの買い物や通院のために循環バスを運行しているが、財政負担や運転手不足などの課題がある。今後は、コストの低減を図りながら、全世代の人が生き生きと暮らす「生涯活躍のまち」の実現に向け、外出の機会を創出するため、移動サービスの利便性向上が求められている。

また、観光客や来訪者が、マイカー以外で来訪した場合、周辺の観光地や飲食施設への移動手段が限られているという課題があり、マイカー以外の移動手段の充実と、各種移動サービスの予約などの手続きを簡単・便利に行える仕組み作りやその案内により、観光客の回遊性向上や、新たな移動需要の創出、交流人口の増加が期待されている。

これらの課題を踏まえ、上士幌町では、SBドライブが提供する自動運転車両の運行管理プラットフォーム「Dispatcher」と、MaaSテックジャパンのMaaSに関する知見や技術を組み合わせて、2つの実証実験を「生涯活躍のまち上士幌MaaSプロジェクト」として実施する。

まず、町内のスーパーから高齢者が多く居住する団地内まで自動運転車両を走行させ、上士幌町住民が専用のスマホアプリで注文・配送予約した商品と、上士幌町住民を同時に運ぶ貨客混載による配送事業の実証実験を10月5日から7日の3日間実施。貨客混載による配送事業の受容性や、自動運転車両の走行に関する技術を検証する。

次に、MaaSアプリで、鉄道などの既存の移動手段に加え、シェアカー、シャトルバス、レンタルサイクル、レンタル電動サイクルなどさまざまな移動手段を組み合わせた、最適なモビリティの案内・提供を行う実証実験を11月以降に実施予定。利用者はMaaSアプリの活用により、周辺の観光地や飲食施設への移動を簡易・便利に行えるようになる。また、ユーザーの移動行動に応じたポイント付与など、移動需要の創出や移動最適化のための機能を順次追加展開することも予定している。

今回の実証実験は、上士幌町における「生涯活躍のまち上士幌MaaSプロジェクト」の第1弾として実施。実証実験を通して、「生活の利便性向上」「観光客の回遊性向上」の検証を行い、上士幌町の課題解決に資するかを確認する。今後は、2020年4月に開設予定の施設「道の駅かみしほろ」「かみしほろシェアオフィス」とMaaSとの連携による移住・交流人口の増加を目指し、上士幌町住民の外出機会の増加や、既存の移動サービスと配送サービスの組み合わせの検証、回遊性向上による観光客増加などの検証を順次進めていく。

MaaSアプリによる観光地への移動最適化《画像:SBドライブ》