スズキ決算説明会《撮影 小松哲也》

スズキの鈴木修会長は5月10日に都内で開いた決算説明会の冒頭、一連の完成検査不正問題に対して「ご迷惑をおかけしたことを心からお詫びを申し上げる」と陳謝した。

鈴木会長は「このたびの完成検査の業務における不適切な取扱いについては、お客様、取引先を始め全ての皆さんにご迷惑をおかけしたことを心からお詫びを申し上げる。今後、全社一丸となって再発防止に向けて取り組んでいくことをお誓い申し上げる」と述べ、鈴木俊宏社長など説明会に出席した役員らとともに頭を下げた。

スズキは2016年の燃費不正を受けて再発防止を表明したものの、18年夏に完成検査不正が発覚、さらにその後の調査で新たな不正も見つかった。完成検査不正でスズキは200万台超のリコールを4月に届け出し、このリコール実施に伴って813億円の特別損失を2019年3月期決算に計上した。

スズキの2019年3月期決算はインドや国内での四輪車販売が好調に推移したことで売上高が前期比3.0%増の3兆8714億円と過去最高を更新したものの、新興国通貨安の影響や諸経費の増加で本業のもうけを示す営業利益は同13.3%減の3244億円と4期ぶりの減益となった。また最終利益は特損の計上もあり同17.1%減の1787億円にとどまった。

説明会の質疑応答で不正が相次いだ背景を問われた鈴木会長は「16年に燃費測定の方法を不適切に扱っていたことを反省し、全社的に総さらいをやり、『大丈夫です』ということを、そのまま鵜呑みにしてしまったことが今回発生した事象。まことに申し訳ないと思っている」と説明。

また経営トップとしての責任をどうとるのかとの質問には「トップの責任は2016年よりも重い。責任を重く受けて止めていることは大事なことと考えている」と述べるにとどめた。

スズキが同日公表した2020年3月期の業績予想は主力のインドを中心に四輪車の販売増を見込むものの、為替の円高影響や次世代技術などで研究開発費もかさむことから、営業利益は同1.7%増の3300億円と小幅な増益にとどまるとしている。

スズキ 鈴木修 会長《撮影 小松哲也》 スズキ決算説明会《撮影 小松哲也》 スズキ 鈴木修 会長《撮影 小松哲也》 スズキ決算説明会《撮影 小松哲也》 スズキ決算説明会《撮影 小松哲也》