Chip Scale Package (CSP) LEDを実装した「nBoard」

三菱マテリアルは、アルミナ基板の約半分の熱抵抗を実現した車載用高輝度LED向けメタルベース基板「nBoard」を開発したと1月8日に発表した。

高輝度LEDには高い放熱性が要求されることから、窒化アルミニウム基板やアルミナ基板に代表されるセラミック基板が主に使用されているが、LEDヘッドランプの採用増加とともに低価格化の要求が高まり、セラミック並みに高い放熱性とコスト優位性をあわせ持つ、銅やアルミニウムを使用したメタルベース基板の開発が期待されていた。

メタルベース基板の放熱性を高めるには、銅やアルミニウムの基板上に構成する樹脂絶縁層の熱伝導率の向上と、その膜厚を薄くすることが必要になる。これまでは、樹脂絶縁層に数十μm(ミクロン)スケールのセラミックフィラーを充填することで熱伝導率を高めていたが、この方法ではセラミックフィラーが大きいため、樹脂の絶縁特性の低下要因になる上、膜厚を十分下げることができないというデメリットがあった。

同社はこれらの課題解決のため、複合材の設計と製造プロセスに関する独自の特殊技術を駆使し、メタルベース基板の樹脂絶縁層の薄膜化開発をスタート。まずナノフィラーを使うことで薄膜化を実現し、さらにナノ粒子を均一に高充填するナノコンポジット技術を開発することで、耐電圧の低下を抑制しながら熱伝導率を向上させることに成功。これらの技術により、耐電圧を落とすことなく樹脂絶縁層の膜厚を従来の80〜120 μmから20〜30 μmと約4分の1に極薄化し、熱抵抗もアルミナ基板の約半分とした。

同社では、nBoardが従来のセラミック基板の代替品として、放熱性は従来のままにコストダウンを達成すると考えており、1月16日から18日に東京ビッグサイトで開催される「第48回 インターネプコン ジャパン −エレクトロニクス 製造・実装技術展−」でも紹介する予定。

従来品と「nBoard」の模式図 ナノコンポジット断面図(例) 熱抵抗比較