自律移動警備ロボット「ペルセウスボット」が西武新宿駅で実証実験《撮影 高木啓》

鉄道駅構内でうずくまる人を検知してロボットが駆けつける……。東京都新宿区の西武鉄道西武新宿駅構内で11月26〜30日に、自律移動型のAI監視カメラ搭載警備ロボット「ペルセウスボット」の実証実験が実施された。鉄道駅で稼働する同種のロボットは日本初だという。

2020年に向けて、インバウンド観光客の増加に伴い乗降客の増加が予測される首都圏の駅においては、安全性の向上と同時に従業員の警備・監視業務負荷軽減のニーズがある。解決策として、自律移動ロボットが駅構内を警備、監視して、不審者や不審物を検知・通報するしくみの実現が期待されている。

西武新宿駅構内で運用された「ペルセウスボット」は、東京都立産業技術研究センターのロボット産業活性化事業の支援を受け、アースアイズ、日本ユニシス、西武鉄道が共同研究開発した自律移動型警備ロボットだ。今回の実証実験では定点カメラも併用された。警備する場所の状況ではそれぞれ単独ではカバーしきれないため。

「ペルセウスボット」は歩行者や障害物を避けながら決まった区域を巡回する。ロボットのAIカメラまたは定点カメラが不審者、不審物、異常者を自動検知すると、不審状況の現場までロボットが移動し、駅係員のスマホへ通報する。また対象者へ声をかける。ロボットには音声通話用のインターフォンも搭載されている。11月27日にはプレス見学会が開催され、しゃがみこんだ人を発見、駅員が駆けつけるデモンストレーションが行われた。

実証実験では、不審者、不審物の検知精度、駅環境における自律移動の安定性、駅係員、警備員の負担軽減度合いがそれぞれ確認され、AI監視カメラ搭載警備ロボットの実現性を検証した。たとえば検知精度については、しゃがみこんでいる人は検知しやすいが床に横たわっている人は検知しにくいという。「やっと外で実証実験できるレベル」(関係者)らしい。検証結果をもとに、2020年を目標に、AI監視カメラ搭載警備ロボットの普及をめざす。

ペルセウスボット《撮影 高木啓》 ペルセウスボット《撮影 高木啓》 ペルセウスボット《撮影 高木啓》 今回の実験では柱の上の定点カメラも併用。《撮影 高木啓》 ペルセウスボットがしゃがみこんだ人を検知《撮影 高木啓》 ペルセウスボットが話しかける。《撮影 高木啓》 駅員のスマホに通報(フォトセッション)。《撮影 高木啓》 通報を受け駅員が到着。《撮影 高木啓》