通信距離10mの屋外実験の様子

三菱電機とNTTドコモは、28GHzを用いて第5世代移動通信方式(5G)向けに開発した超多素子アンテナシステムを使って16ビーム空間多重処理を行うことで、屋外実験で通信距離10mで端末1台の通信速度27Gbps、100mで通信速度25Gbpsに世界で初めて成功した。

実験は、9月10日〜9月28日に神奈川県鎌倉市で実施し、500MHz帯域を用いて16ビーム空間多重処理を行うことで実現した。

4Gでは、1台の端末に向けて4並列伝送を超える超高速通信を行うことは困難だった。今回開発した基地局を建物壁面に設置し、端末を自動車に搭載して基地局から距離10m、100mの道路に沿って移動する端末に対して16ビーム空間多重伝送を行う28GHz帯屋外実験を実施した。

これまで4Gでは実現できなかった16ビーム空間多重を実現するため、超多素子アンテナによるビーム形成技術とビームの重複によるビーム間の干渉低減技術を開発した。

開発したビーム形成技術では、アナログ回路によってあらかじめ設定したビームを切替えることで端末の移動に追随する。ビーム間の干渉低減技術では、刻々と変化する伝搬環境を地局側で測定し、信号を制御することで、干渉を低減する。これらの開発技術によって屋外移動環境における16ビーム空間多重を実現した。

今後、壁面などによる多重反射を想定した28GHz帯屋内実験を2018年度内に実施する予定。