#7 A.コンテ(プジョー)《撮影 益田和久》

26日、ツーリングカーレースの新・世界最高峰シリーズ「WTCR」(FIA世界ツーリングカー・カップ)の日本戦が鈴鹿サーキットで始まった。この日は午後、予選セッションが異なる方式で2回実施され、プジョーとアルファロメオが1回ずつ、予選バトルを制している。

WTCRは、昨季までの世界最高峰ツーリングカーシリーズ「WTCC」(FIA世界ツーリングカー選手権)が、近年になって興隆してきたTCR規定ツーリングカーによるシリーズの最高峰「TCRインターナショナル」と合流を果たすような格好で新生された、2018年からの新たな世界最高峰ツーリングカーシリーズである。世界ツーリングカー・カップの略称は本来、WTCRにはならないわけだが、W-TCR(世界TCR)という考え方をすると分かりやすいかもしれない。

WTCRの戦いの基本的な構図は、ホンダ、アウディ、ヒュンダイ、VWなどが原則的に市販供給するTCR規定マシンを世界トップレベルのレース技術をもった強豪チームが走らせ、ツーリングカーマイスターと呼ばれる猛者たちを中心にした精鋭ドライバー陣が腕を競う、というものだ。WTCCでおなじみだった面々も多く参戦中。タイヤは全車ヨコハマを履く。

2018年シーズン、全10大会中の9大会目にあたるWTCR日本戦は、鈴鹿サーキットが舞台となった。2015年から昨年までWTCC日本戦はツインリンクもてぎで開催されていたが、シリーズ新生を機に4年ぶりに鈴鹿へと戻るかたちになった。しかもスーパーフォーミュラ最終戦との併催という、豪華なレースウイークが28日まで続けられる。

WTCRは1大会3レース制が基本。鈴鹿での走行初日のこの日(金曜)は午後、ドライコンディションのもとで2回の予選セッションが実施された(それぞれ方式が異なる)。

まず、土曜に決勝があるレース1のための予選が30分間の通常計時方式で行なわれ、その後、スーパーフォーミュラの走行を挟んだのちに、日曜決勝であるレース2&レース3のためのノックアウト方式予選が行なわれている。レース2のグリッドはノックアウト予選のトップ10をリバースしたものとなり、レース3は同予選の結果を“正順”としたグリッドになる(決勝の予定周回数は、9周、9周、11周)。

予選には25台が出走した。最初の「レース1のための予選」では、プジョー308TCRを駆る#7 オーレリアン・コンテが最速タイム2分11秒536をマーク。2位にはアルファロメオ・ジュリエッタTCRの#31 ケビン・チェッコンが続いた。3位はホンダ・シビック・タイプR TCRの#86 エステバン・グエリエリ。

ノックアウト予選は3段階方式での実施。ただ、Q1とQ2のそれぞれ自体は通常計時予選ながら、Q3は1台ずつのシングルカーアタックとなる点がスーパーフォーミュラ等のそれとは異なる点だ(通過台数枠は、Q1が12台、Q2が5台)。

こちらの予選を制したのはアルファの#31 チェッコン。Q3では2分10秒742を記録し、2位をコンマ7秒離してみせた。2位は56歳の元F1ドライバー、ヒュンダイ・i30 N TCRに乗る#30 ガブリエル・タルクィーニ。3位にはプジョーの#7 コンテが続いている。また、レース2のポールスタートはノックアウト予選10位の#74 ペペ・オリオーラ(クプラTCR)が手中にする見込み(ノックアウト予選に関しての内容等は、すべて暫定結果に基づく)。

地元である日本人選手の参加がないのは少々寂しいが、バトル激しい短距離戦3連発となることが期待されるWTCR日本戦「JVCKENWOOD RACE OF JAPAN」。決勝は、レース1が27日(土曜)の14時05分、レース2が28日(日曜)の11時05分、レース3が同日12時30分にそれぞれ開始予定となっている。

#7 A.コンテ(プジョー)《撮影 益田和久》 #31 K.チェッコン(アルファロメオ)《撮影 遠藤俊幸》 #30 G.タルクィーニ(ヒュンダイ)《撮影 益田和久》 #86 E.グエリエリ(ホンダ)《撮影 益田和久》 鈴鹿サーキットでWTCRが始まった。《撮影 益田和久》 今週末の鈴鹿はSF最終戦とWTCR日本戦の豪華2本立て開催。《撮影 遠藤俊幸》 明日(27日、土曜)はWTCRのレース1決勝が行なわれる。《撮影 遠藤俊幸》