イーロン・マスク (c) Getty Images

米国のSEC(証券取引委員会)は9月29日、テスラのイーロン・マスクCEOを提訴していた件で和解が成立した、と発表した。和解の条件として、マスクCEOは兼任の会長職を辞することが決まった。

今回の提訴は、マスクCEOが8月上旬、2200万人のフォロワーを持つ自身の公式Twitterで、「テスラ株の非公開化を検討している」と発表していたことを受けたもの。同CEOは、「非公開化に向けて、株式を買い取るための資金も用意した」と明かしていた。この発表の後、テスラの株価は6%以上上昇。しかしマスクCEOは、最初の発表からおよそ2週間後の8月下旬、「テスラの株式の非公開化計画を撤回する」と発表。SECがマスクCEOを提訴したのは、同CEOのTwitterでの一連の発表が、投資家を欺く行為にあたるとみなしたためだった。

SECは今回、この件での和解の成立を発表。和解の条件のひとつが、マスクCEOが兼任の会長職を辞すること。今後、新たに社外から新会長を任命する予定で、マスクCEOは3年間、会長職に就くことを禁止された。これは、マスクCEOへの権力の集中を防ぐ狙いがある。

また、マスクCEOとテスラが、それぞれ2000万ドル(約22億円)の罰金を支払うことも和解の条件に。さらに、社外から2名の取締役を新たに起用することと、社外取締役で構成される委員会を立ち上げ、マスクCEOのコミュニケーション(Twitterを含む)を厳しく監督することも、和解の条件に掲げられた。

SEC執行部のステファニー・アバキアン共同ディレクターは、「今回の和解は、テスラのコーポレートガバナンスと監督を強化し、投資家を守ることが目的」と述べている。