東神戸大橋の超大規模解析による変形シミュレーション

東芝と阪神高速は8月28日、阪神高速5号湾岸線東神戸大橋をコンピューター上に再現し、車両荷重影響を評価する超大規模解析技術を開発したと発表した。

高度経済成長期から50年、当時建設された橋梁は老朽化が進み、正確かつ効率的な点検業務の早急な構築が課題となっている。両社は、橋梁の経年劣化などの状態をコンピュータ上に再現する橋梁デジタルツインの共同研究を2017年2月より開始。東芝の構造解析技術と阪神高速の橋梁維持管理ノウハウを組み合わせ、東神戸大橋を対象に、2次元の設計図面から3次元モデルを迅速に構築する技術を開発した。

解析技術では、従来は複雑な断面形状を持つ構造を梁で置き換えて橋梁をモデル化していたものを、今回は細部の形状までそのまま再現した超大規模解析技術を構築。梁に置き換えないことで、力のかかり方や変形が構造のどこで生じるかといった細かい分析ができ、精密な解析が可能になる。これにより経年劣化状況の診断や、維持管理業務の効率化、災害時の橋の状態把握が迅速にできるなど、より適切な防災対応が可能になる。

両社は今後、今回の解析結果と現在実施しているセンサーネットワークを用いた実測結果との比較を通じて解析モデルの有効性を検証。あわせて、風や車両走行による振動や、日照による温度変化で生じる伸びなど、橋梁に影響を与える様々な事象に対する解析機能の拡充を図る。