観光庁・田村明比古長官(20日・霞が関)《撮影 中島みなみ》

2017年8月の訪日外国人旅行者数が、8月単月として過去最高の247万8000人に上った。前年同月比20.9%の増加。また、9月15日には独自推計で2000万人を超え、昨年より45日早く目標を達成した。観光庁が20日に発表した。

押し上げ要因として最も大きかったのは中国からの旅行者。単月として過去最高の81万9700人(前年同月比21.1%増)が来日した。8月の旅行者が過去最高を数えた国は、ほかにも16の国の地域があり、韓国62万900人、台湾37万7800人、香港19万9800人などが旅行者数上位を占めた。前年同月比で伸び率が目立ったのは、ベトナム(2万4700人/43.6%)、マレーシア(2万1100人/35.8%)、シンガポール(1万5300人/26.8%)など。世界の旅行者が幅広く日本を目指した。

「中国では、個人旅行の増加、クルーズ船の寄港数の増加、韓国や香港は航空便数の増加が寄与した」(田村明比古観光庁長官)と分析。さらに、北朝鮮情勢が与える観光への影響を問われ、こう答えた。「我々もそういう状況がインバウンドに影響を与えるかどうかは注視しているが、今のところ目立ったマイナスの影響を受けているほどではない。逆に比較的8月の数字は好調であった」。

一方で、外国人旅行者数が順調であるほど、浮上するのが「出国税」を含めた新しい財源確保策だ。年間2000万人を達成する途上では、無料wifiなどの設置が求められたが、外国人の個人旅行者が増えるなどすると、多言語対応など「高次元の施策」が必要になる。仮に出国税となれば、国外に出るすべての人々、つまり日本人も対象となる可能性は高い。田村氏は言う。

「まさに検討会を立ち上げ、有識者による議論が始められたところだが、もともと何のためにやるのかといえば、高い(旅行者数)目標を実現するために高次元の施策をやるための財源確保が必要ではないかということ。それで大きく数を減らしてしまえば本末転倒。どういう手法、対象で、財源を求めるのか。どのくらいの規模にするのか、どういう人に使うのかというバランス。そのへんの解を見つけていく」

訪日外国人旅行者数の推移