優勝した#1 野尻智紀(TEAM MUGEN)《撮影 竹内英士》

三重県・鈴鹿サーキットで30日、今シーズンのスーパーフォーミュラ最終戦となる第10戦の決勝レースが行われ、すでにチャンピオンを決めている#1 野尻智紀(TEAM MUGEN)がポールトゥウィンを達成した。

前日に行われた第9戦でドライバーズチャンピオンは#1 野尻智紀(TEAM MUGEN)に、チームスチャンピオンはTEAM MUGENに決定。最終戦はチャンピオンランキング2位以下の戦いとともに、野尻とTEAM MUGENにとっては限界に挑戦するレースとなった。

「チャンピオン獲得のためにマネジメントしてきましたが、最終戦は限界までプッシュしたらどこまでできるのか、を試すレースをします」と宣言していた野尻。予選では僅差ながらも見事ポールポジションを獲得した。

31周の決勝レースは、今回も1回のタイヤ交換が義務付けられている。野尻はスタートを決めてトップで1コーナーへ。うしろでアクシデントが発生し1周目からセフティーカーが導入されたが、3周目のリスタートも決めて、その後の1周で後続に約2秒もの差をつけてきた。10周目からタイヤ交換義務を消化するマシンが現れたが野尻はステイアウト。この時点で後続に6秒以上の差をつけていた。

13周目に2度目のセフティーカーが入った直後に野尻はタイヤ交換のためにピットに向かった。このタイミングでタイヤ交換を済ませていなかったマシンが次々とピットに入り全車タイヤ交換が完了。野尻はトップをキープしたままコースに復帰した。

リスタートは18周目。築き上げた後続との差はリセットされたが、リスタートも完璧に決めた野尻は改めて後続との差を広げ始めた。最終的には2位に6秒以上の差をつけてポールトゥウィン。チャンピオン野尻がその速さを見せつけるレースとなった。

2位争いは、スタートでひとつ順位を上げ2位となった#6 大津弘樹(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、同じくひとつ順位を上げ3位となった#15 笹原右京(TEAM MUGEN)、そしてこの2人に抜かれた#37 宮田莉朋(Kuo VANTELIN TEAM TOM’S)による争いとなったが、笹原は1度目のセフティーカーラン後のリスタートを失敗。その後アクシデントもあり大きく順位を落とした。2位大津と3位宮田は約1.5秒の差での攻防が続いたが、宮田が差を詰めてくると大津がペースを上げる展開が繰り返され、最終的に大津が2位、宮田が3位でフィニッシュした。

レース終了後には通常の表彰式に加え、シリーズ表彰も行われた。ドライバーズチャンピオンはもちろん野尻、そしてチームスチャンピオンはTEAM MUGEN。ルーキー・オブ・ザ・イヤーはTEAM GOHの#53 佐藤蓮(TEAM GOH)と#55 三宅淳詞(TEAM GOH)により争われたが、第9戦で3位表彰台に登った佐藤が獲得した。

各表彰終了後には21名の全ドライバーがポディウムに登壇し、ファンの前でシーズンエンドセレモニーが開催された。

◆開発車両のデモランを実施
またこの日は開発車両のデモランも行われた。次の世代に対応するため、カーボンニュートラル燃料の使用や、植物由来の天然素材「バイオコンポジット」を使用した車両の開発を進め、2022年からそのテスト走行を行っていたが、その開発車両に開発ドライバーで元スーパーフォーミュラドライバーの石浦宏明と塚越広大が乗り込み、ファンの前でその走りを披露した。

■スーパーフォーミュラ 第10戦決勝レース結果
1. #1 野尻智紀(TEAM MUGEN)
2. #6 大津弘樹(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)
3. #37 宮田莉朋(Kuo VANTELIN TEAM TOM’S)
4. #4 サッシャ・フェネストラズ(KONDO RACING)
5. #20 平川亮(carenex TEAM IMPUL)
6. #64 山本尚貴(TCS NAKAJIMA RACING)
7. #65 大湯都史樹(TCS NAKAJIMA RACING)
8. #55 三宅淳詞(TEAM GOH)
9. #5 牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)
10. #7 小林可夢偉(KCMG)
11. #19 関口雄飛(carenex TEAM IMPUL)
12. #38 坪井翔(P.MU/CERUMO・INGING)
13. #3 山下健太(KONDO RACING)
14. #39 阪口晴南(P.MU/CERUMO・INGING)
15. #14 大嶋和也(docomo business ROOKIE)
16. #15 笹原右京(TEAM MUGEN)
17. #36 ジュリアーノ・アレジ(Kuo VANTELIN TEAM TOM’S)
18. #18 国本雄資(KCMG)
19. #53 佐藤蓮(TEAM GOH)
以上完走

--. #50 松下信治(B-Max Racing Team)
--. #12 福住仁嶺(ThreeBond Drago CORSE)

第10戦表彰式《撮影 竹内英士》 2位の#6 大津弘樹(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)《撮影 竹内英士》 3位の#37 宮田莉朋(Kuo VANTELIN TEAM TOM’S)《撮影 竹内英士》 4位の#4 サッシャ・フェネストラズ(KONDO RACING)《撮影 竹内英士》 5位の#20 平川亮(carenex TEAM IMPUL)《撮影 竹内英士》 6位の#64 山本尚貴(TCS NAKAJIMA RACING)《撮影 竹内英士》 シリーズチャンピオン表彰式、野尻智紀《撮影 竹内英士》 シリーズランキング表彰式。左からランキング2位のサッシャ・フェネストラズ、チャンピオンの野尻智紀、ランキング3位の平川亮《撮影 竹内英士》 チームスチャンピオン表彰式。TEAM MUGENの(左から)笹原右京、田中洋克監督、野尻智紀《撮影 竹内英士》 ルーキー・オブ・ザ・イヤー表彰式、佐藤蓮《撮影 竹内英士》 シーズンエンドセレモニー《撮影 竹内英士》 開発車両デモ走行《撮影 竹内英士》