水素エンジン搭載重量車のレイアウトおよびシステム構成《画像提供 東京都市大学》

東京都市大学は8月8日、水素内燃エンジンがディーゼルエンジン並みの出力を達成した、と明らかにした。環境省の2021年度「水素内燃機関活用による重量車等脱炭素化実証事業」に採択された、「既販中型重量車の水素エンジン化事業性検証プロジェクト」によるもの。

プロジェクトは、「走行距離が長く、需要量も大きい重量車(トラックなど)」の脱炭素化に向けた取り組みだ。既存の車両を水素内燃エンジン車に改造し、その実用性の確保と環境性・経済性を評価する。プロジェクトは東京都市大学とフラットフィールド、トナミ運輸、北酸、早稲田大学アカデミックソリューションが共同で提案し、環境省の事業に採択され、2021年8月20日に始動した。

水素内燃エンジンはディーゼルエンジンと比較して出力不足が弱点となる。このプロジェクトの成果により、2022年6月15日時点で排気量当たりの出力は、既存のディーゼルエンジン並みの出力まで到達した。今年度後半には実用化に向けて耐久試験を実施する予定だ。

車両については、水素タンクを装備することから積載量の確保も課題だ。プロジェクトではベース車両の70%以上の積載量をめざす。事業化に向けては、経済性を重視する観点から、水素化部品のキット化を含めたコスト削減策を検討する。車両は今後、富山県において環境性・経済性を確認する実証試験を行ない、貨物事業における実用性や耐久性も評価した上で、2026年度の社会実装(販売開始)を意図している。

既存のディーゼルエンジン並みの出力《画像提供 東京都市大学》