
チーバくんの口元のあたり、千葉県の松戸と京成津田沼を結ぶ26.5kmの路線を持つ新京成電鉄。この曲線の多い新京成線に、14年ぶりの新型車両が走り出す。「8000形」、「8800形」、「8900形」、「N800形」に次ぐ、現役5形式目の「80000形」(はちまんがた)だ。
オールステンレス車 80000形は、これまでの他形式と同じく日本車輌製造で製造される。10月初旬に日本車輌製造豊川事業所から東海道線を伝って運ばれ、試運転を重ねている。
基本構造は京成電鉄が同社の標準車両と位置づける最新型3100形と共通だ。京成と新京成は今回、グループシナジーをキーワードに、この新たな標準車両を共同で開発した。新京成車と京成車がそれぞれに持ついいところをブラッシュアップしたモデルとなる。
◆設計最高速度120km/h、運転最高速度85km/h
編成は、都営線や京急線に乗り入れる京成3100形6両編成に準ずることから、新京成80000形も先頭車両にモーターを置く6両編成4M2T。津田沼方から80011(Mc1)80012(M2)80013(T3)80014(T4)80015(M5)80016(Mc6)とつながる。
先頭車と次位車を電動車とし、中央の2両をモーターなしT車とした編成は、新京成の現役形式ではN800形に次ぐ2形式目だ。そのほかの形式は先頭車がモーターなしクハを組み入れている。80000形の設計最高速度は120km/h、運転最高速度は新京成線内が85km/h、京成線内が95km/h。
◆他社の最新モデルのいいところも採用
ボディは、京成3100形と新京成80000形でそれぞれの配色・コーディネートを施し、最適化をめざしたデザインにした。帯の配置や塗り分けが無理なく構成でき、両社の描くイメージに違和感なくなじむようにデザイン開発がすすめられた。
側面の行先表示器は従来車の2倍の大きさとし、多言語で案内。車内に目をむければ、新京成らしく鏡がついている。ハイバックシートは京成・新京成ともに初導入だ。
その窓ガラスにはUVカット率の高いガラス素材を採用。荷だなをポールからスリット式に変えるなど、他社の新型車両のいいところも積極的に採用した。
◆N800形を超えて5本以上つくるか
また機器まわりで京成3100形と違うのは制御システムや運転台レイアウトなど。運転台につくタッチパネル式モニタ装置は、新京成8900形更新車のものを受け継ぎブラッシュアップした。
京成もこの新京成版タッチパネル式モニタ装置の実績を評価し、京成3100形にも採用した。制動装置は編成ブレーキ(MBSA型)を採用。これは編成全体でブレーキ力を演算し回生電力を有効活用する省エネ化と、雨天時の制動力安定化が期待できる。
新京成電鉄は現在、8000形2本12両、8800形16本96両、8900形3本18両、N800形5本30両の156両が動いている。26本あるうち、通勤ピーク時間帯で23本を動かし3本を予備として置いておく。ここに80000形1本が入って、旧型車両が1本、押し出されるかたちで廃車される見込み。
◆京成の3100形と共通設計
京成の3100形と共同開発・共通設計にすることで、グループシナジー・メンテナンスフリー化を図ったうえで、新京成80000形は、客室にある鏡など新京成だけの個性・特性をキープした。
ジェントルピンクの新型車は、12月27日から営業運転をスタートする予定だ。新京成が1947年に営業運転を開始した日付と偶然にも同じだ。






















