会場に出展した世界最小の空飛ぶクルマ「SkyDrive」のスケールモデル

次世代モビリティ「空飛ぶクルマ」が世界的に注目されているが、日本でも政府自らが実現へ向けたロードマップを策定するなど現実性を帯びてきている。そんな中、日本発の「空飛ぶクルマ」で注目の「SkyDrive」がIFA 2019へ出展。世界に向けたアピールに乗り出した。

同社が出展したのは 世界各国のスタートアップや最先端のIT企業等が集まる特設エリア「IFA NEXT」内「ジャパン・パビリオン」。会場には世界最小の空飛ぶクルマ「SkyDrive」のスケールモデルを出展。2030年を想定したイメージムービーなどを上映しながら説明を行った。

会場で応じてくれたのは同社代表取締役福澤知浩氏。「当面の目標は来年の東京オリンピック開催に合わせて有人飛行をすること。パイロット以外に1名の乗車を想定しているが、将来は自家用車として使えるよう定員を2名とした。欧米で提案されている固定翼を持つのでは走れる場所が限られ、それでは“空飛ぶクルマ”とは呼びにくい。SkyDriveは一般道も走れるよう四隅にプロペラの形を持つドローンのような形を採用した」。

公開しているイメージビデオでは、2030年のSkyDriveがある日常を表現している。SkyDriveは垂直離陸が可能な電動の「eVTOL機」であるため、道路近くにあるスペースを活用して離陸することが可能。そのスペースはコンビニの駐車場2台分があれば十分だという。道路上で激しい渋滞が発生していても、空を活用することでかつてない高速移動が可能になるという想定だ。

また、機材は電動駆動であるため、排ガスはゼロ。騒音もジェットエンジンを使う機材と比べてはるかに静かだ。つまり、このスペックなら市街地であっても運用は可能となり、幅広い利用が可能になるわけだ。

福澤氏によれば、「2023年頃には販売にこぎ着けたいが、課題は法律や安全面をどう対応するか。現状では何も決まっていない状態」だという。つまり、操縦者はパイロットの資格を持つ必要があるのか、現状の道路運送車両法の下で道路を走れるのか。空を飛ぶようになれば安全上の問題、それを住民がどこまで納得できるかなどなど、実用化するまでに決めるべき課題はヤマとあるあるのだ。

そのような状況下ではあるが、「2050年頃には上空を見れば空飛ぶクルマが自在に飛び回っている時代になる」と自信を見せる。自らがトヨタ自動車時代から無類の乗り物好き。空への憧れも強いという。この日は空へ向かう夢をしっかりと語ってくれた。

2025年頃を想定したイメージ。二人乗車で地上と空を自在に行き来できるようになる 出展されたSkyDriveの下部。カメラらしきものも見える SkyDriveの説明パネル。特徴が記載されている 徳島大学構内で行われた実証実験。実際に人を乗せられるサイズで浮き上がれるかどうかを検証した 2人乗りを想定した機体のフレーム 模型を使ったテスト風景。空と陸の両方を走れる両刀遣いに期待がかかる