臼杵市の六ヶ迫鉱泉は胃腸にいい飲泉としても全国的にファンが多いという。《撮影 中込健太郎》

日本一のおんせん県おおいたとしてもお馴染みの大分県。大分市の南に位置する臼杵市に六ヶ迫(ろっかさこ)鉱泉はある。

江戸時代元文年間、白鷺(シラサギ)が傷を癒しに来て、鷺来ヶ迫(ろくがさこ)となったとされる六ヶ迫鉱泉。今でこそ山間のひっそりとした秘湯という趣だが、かつては大分の中心部と臼杵を結ぶ、御所峠越えの往来でかなり賑わいを見せたのだそうだ。

臼杵市は宇和島フェリーの発着で、四国愛媛県八幡浜市方面から九州へ入る玄関口として賑わいを見せる。陸路関門海峡を通過するよりも、距離も時間も燃料代も節約できるとあって、九州中部南部へのアクセスに利用する人は少なくない。

六ヶ迫は臼杵市の市街中心部から大分県道205号の旧道を山間へ入る。ものすごく山奥というわけでもないが、バス便はまばら(市のコミュニティバスが1往復半/日)なので、六ヶ迫を訪れるのはタクシーか、マイカーがあれば、アクセスは比較的容易な場所になる。

六ヶ迫鉱泉は入浴は勿論、飲泉として温泉ファンが全国から訪れるという。胃腸に優しいという源泉は、飲泉場で飲むことができる。訪れた際にも、地元の生徒が、部活の練習の帰りだろうか、何人も、飲泉場で鉱泉を飲んでいた。

弱めの炭酸水が錆びた蛇口から出てきたような味、とでも表現すべきだろうか。確かに美味ではないものの、飲めない味ではない。炭酸や、他の成分なども含めて、独特ではあるものの、角の取れた味の鉱泉は、口に含めばたちまち、体が活性化し、代謝が良くなってくるのが実感できるほどだった。

しかし、せっかくなので飲泉だけではなく入浴も楽しみたいということで、一軒だけ残る旅館を訪れる。源泉俵屋旅館では、16時から18時半の間は立ち寄り入浴も可能だ。鉱泉を薪炊きで沸かしているため、香りもとてもいい。含炭酸-ナトリウム・カルシウム-炭酸水素塩・塩化物泉のお湯は、かけ流し。血行を促し、たちまち肌のキメも整える。

臼杵市から大分市に向かう市境の山間にある六ヶ迫鉱泉。旧道沿いのため、道幅は広くはないが、乗用車程度ならアクセスは可能だろう。クルマがあれば是非訪れたい歴史ある秘湯である。

小さな湯治場には二か所の飲泉場と、一軒の旅館で入浴も楽しめる。《撮影 中込健太郎》 その昔は大分市方面と臼杵の街を結ぶ御所峠越えのルートだった。現在は県道205号線が長いトンネルでショートカットしてつなげているため、ここを通る人は地元の人くらいに限られる。《撮影 中込健太郎》 飲泉場には専用の給水機があって、5リットル100円で組むことができる。《撮影 中込健太郎》 横の蛇口からはだれでも気軽に飲むことができる。《撮影 中込健太郎》 天然の炭酸水でもあるため、なかなか炭酸が抜けない上に、きめが細かく、角の取れた味がする。しかし、成分の関係で錆びたようなにおいもする。《撮影 中込健太郎》 せっかくなので飲泉だけではなく、入浴も、と、俵屋旅館を訪れた。《撮影 中込健太郎》 16時から18時半の間は立ち寄り入浴も受け付けてくれる。《撮影 中込健太郎》 鷺湯は六ヶ迫鉱泉発祥の地。《撮影 中込健太郎》 大分県内をドライブするとついつい温泉をはしごしたくなる。《撮影 中込健太郎》 ちなみに六ヶ迫鉱泉、おんせん県おおいたのポスターにも掲載されている。《撮影 中込健太郎》