この5月から販売開始の三菱『デリカミニ』。『eKクロス スペース』以上のクロスオーバーぶりが気になるモデルだ。もちろん車名が“デリカ”であるところにも注目。そこで今回はそのルーツたる、『デリカ・スターワゴン』をカタログで振り返ってみたい。
◆ファンの心を鷲掴みにした性能とルックス
発売は1982年10月28日のこと。当時のニュースリリースには「大きなスペースユーティリティーを持つ小型キャブオーバータイプとしてはわが国初の4輪駆動車」「レクレーショナル・ビークルとしてますます多様化傾向の強い小型キャブオーバークラス車の需要動向に対応したもの」などとある。
まだ“RV”と表記していないところがいかにも“時代”だが、その後のデリカ・スペースギア、『デリカD:5』につながるクロスオーバーSUVの起源だった。初代『パジェロ』の登場は同じ1982年5月のことだ。
写真のカタログは1982年11月、1986年2月のもの。圧巻はクルマを下から写したカットを中央に据えたメカニズムが紹介された見開き。撮影のために塗装が施された状態だがラダーフレーム、トランスファ、前後デファレンシャル前後サスペンションが一望でき、アプローチアングル33度、デパーチャアングル32度、ランプブレークアングル26.5度や、登坂能力0.60/31度、最大安定傾斜角44度といった数値も。デリカスターワゴンに思いを寄せるユーザーなら、このページだけでも白いご飯が何杯もいけた(!?)ことだろう。
ちなみに4WDは2輪駆動と4輪駆動、ハイレンジとローレンジの切り換えが可能な2スピードパートタイム方式。トランスファは4L/4H/2Hの3つのシフトレンジをもち、2Hと4H間には節度感を向上させるためインタロックを兼ねたセレクトリターン機構を採用。トランスファは直結式で前輪への伝達にはサイレントチェーンを使うことで静粛性にも配慮。オートマチックフリーホイールハブもオプション設定されていた。
搭載エンジンは、当時の三菱の専売特許だったサイレントシャフトが組み込まれたシリウス80、G62B型1.8リットル・ガソリンエンジン(100ps/15.0kg-m)だった。
そして何といっても、それまでの1BOXとは大きく差をつける迫力のあるルックスは魅力だった。ロードクリアランスは200mmと見るからに高い走破性をアピール。電動ウインチが装着可能なフロントガードバーを始め、2WDより140mm高いフロア高に対処するためのフロント/サイド/リヤの各ステップ類、一方で室内側にはドアやゲート部にグリップを備えた。もともと2代目デリカは直線基調の機能的なフォルムが特徴だったが、それにRVらしさを際立たせた性能をプラスし、ファンの心を鷲掴みにした。
デリカミニの源流、元祖『三菱デリカ・スターワゴン』になぜ我々は心を鷲掴みにされたのか【懐かしのカーカタログ】
2023年05月14日(日) 12時00分
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