トヨタ自動車グループの不祥事がどうにも止まらない。日野自動車に豊田自動織機、それに大型連休前にはダイハツ工業でも相次いで不正が発覚。トヨタ自動車の豊田章男会長は「不正はグループ全体の問題。自分が先頭に立って信頼回復に努める」と強調したばかりだったが……。
こんどはトヨタ系の特殊鋼メーカーの愛知製鋼が、顧客の求める規格を満たさない鋼材を長年にわたり出荷していたという。
◆許容の長さより長くても出荷
同社の藤岡高広社長らが記者会見を開いて「製造業の信頼性を著しく損ない、補償も含めてお客様にていねいに説明していく」と述べて、公表したもので、きょうの読売、朝日、日経などが「契約規格外の鋼材、検査基準放置し出荷」などと取り上げている。
それによると、愛知製鋼の知多工場で生産された自動車のエンジン部品などに使用する丸棒鋼材の一部で、長さ6メートルの鋼材について、顧客との契約の規格では許容する長さの誤差を「プラス40ミリまで」としていたが、規格よりも20ミリも多く「プラス60ミリまで」の製品を出荷していたという。
◆長さ以外の品質に問題はない模様
取引先の主要顧客から、今年3月に指摘があり、契約に合わないで検査基準が放置されて出荷していたことが発覚したもので、その後の社内調査では不適切な運用は、少なくとも1995年から続いていたことも判明したそうだ。長さ以外の品質には問題はないとみられるが、対象となる一部製品の出荷を当面、停止するという。
また、朝日によると「不適切な運用は経営陣も把握していたが、監督官庁である経産省などへの報告はしていなかった」とも伝えている。
今後は日野やダイハツ同様に、第三者でつくる特別調査委員会を設置し、原因究明や再発防止を図るという。先週はトヨタでも、クラウドシステムの設定を誤り、車向けの情報通信サービスを契約した約215万人分の顧客データが外部に漏洩したことも発覚した。グループ総帥の豊田会長も「私が主担当として取り組む」とは宣言したものの、まるで雨後の筍のように不祥事が見つかっては、グループの緩んだタガを締め直すことは容易ではないだろう。
2023年5月18日付
●株3万円回復、1年8か月ぶり(読売・1面)
●水素燃料トラック実証、ヤマト、東京 - 群馬間(読売・10面)
●GDP年1.6%増、旅行や外食好調、1〜3月、3四半期ぶりプラス(朝日・1面)
●商用軽EV試作できた、スズキ・ダイハツ・トヨタ(朝日・6面)
●トヨタ系、契約規格外の鋼材、愛知製鋼、検査基準放置し出荷(朝日・7面)
●水素エンジンでバイク4社連携(毎日・6面)
●東急、ホテル定額制サービス開始、全国110施設30連泊プラン29万9800円(産経・10面)
●世界経済強まる後退懸念、1〜3月、米欧成長鈍く、日本も試練(日経・1面)
●G7機に戦後の歩み紹介、マツダ・地元企業、EV時代も連携(日経・15面)
トヨタグループの愛知製鋼でも不正発覚、契約規格外の鋼材を出荷[新聞ウォッチ]
2023年05月18日(木) 08時56分
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