ステアリングとアクセルを一体化、直感コントロールできるマツダ MX-30...国際福祉機器展2022《写真撮影 関口敬文》

2022年10月5日から7日まで『国際福祉機器展H.C.R.2022』が東京ビッグサイトで開催されている。マツダのブースには、手動運転装置付き『MAZDA MX-30 Self-empowerment Driving Vehicle』(以下、MX-30 SeDV)と、『MAZDA ROADSTER Self-empowerment Driving Vehicle』の2台が出品されていた。

このSeDVとは、ドライバーが自分の意志で移動したり、行動したりすることをサポートする選択肢のひとつとして提案する、手動運転装置付きの車のこと。

◆手を使った直感的なアクセルコントロールが可能なアシストシステム
MX-30 SeDVには、手で直感的に加減速を行う『アクセルリング』と、『レバーブレーキ』を装着。足が不自由な方でも意のままに操れる手動運転を実現している。レバーブレーキを押し込み、ブレーキロックを掛けた状態でイグニッションをオンにすると、アクセルペダルでの操作はできないため、誤って踏み込むといった誤動作を防ぐ機能も兼ね備えている。この機能により、手動運転とペダルによる運転操作の選択が簡単に行え、ドライブに出かけた際に、家族と運転を交代するなど、ドライバーに応じた運転システムの切り替えが可能になっている。

ブースの説明担当者によると、現在のところはMX-30にのみ装着可能なシステムだが、今後すでに使用中のカスタマーからのフィードバックをもらいながら改良を続け、ほかのモデルにも装着するかなどの判断をしていきたいとのことだった。実際にこのシステムを取り付ける際には、オンラインでまず商談し、デモカーを試乗していただくなど、操作感覚をつかんでもらってから契約ということになる。価格は『リング式アクセル&レバーブレーキ』、『ブレーキサポートボード』、『移乗ボード』の3点セットで38万1000円、取り付け費は14万7000円となり、非課税となっている。

◆車イスはルーフボックスに収納するという新しい運搬方法
MX-30 SeDVには一見普通のルーフボックスが搭載されていたが、じつは普通のルーフボックスではない。なんと車イスを収納できるルーフボックスで、ミクニライフ&オートが販売する『オートボックス』という商品。スライド式のカーゴによって車イスをスムーズに吊り上げ、収納できるといったもの。

車イスを収納する時は、スライド式カーゴを一番下まで降ろし、車イスの座面部に取り付けたベルトに吊り下げフックを掛け、あとは電動スイッチを押すだけで車イスを吊り上げられる。ボックスに車イスが収納されたらボックスをルーフのほうに移動させれば収納完了。運転席に座ったままルーフボックスに車イスを収納できるので、身体への負担が少なくてすむのが特徴だ。

車イスのサイズには制限があり、高さ870×長さ930×折りたたみ幅440mm以内、また重量は30kg以下となっている。取り付けられる車は、軽自動車やセダンタイプ、ハッチバックなどにも対応できる。ただし2ドアクーペ、3ドア、軽ワンボックスカーには取り付けられない。価格は対応車イスのサイズによって異なるが、70万〜75万円となっている。

ステアリングホイールの内側にリングが付いている。これを推すことでアクセル操作が可能になる。《写真撮影 関口敬文》 アクセルリングを押す前の状態。《写真撮影 関口敬文》 アクセルリングを押した状態。コレがフルスロットルとなる。《写真撮影 関口敬文》 押込式のレバーブレーキ。実際の運転時には、手の平で押すため、このような形状となっている。《写真撮影 関口敬文》 フルブレーキ状態になるように目一杯押し込んだ状態。レバーブレーキの右に付いているボタンは、ハザードスイッチとブレーキロックボタン。《写真撮影 関口敬文》 左ひじの位置には、ブレーキサポートボードを取り付ける。カップホルダーに差し込む形のため、簡単に取り外しが可能。《写真撮影 関口敬文》 ブースには実際に運転を体験出来るシミュレーターが用意されていた。《写真撮影 関口敬文》 こちらはMAZDA ROADSTER Self-empowerment Driving Vehicle。《写真撮影 関口敬文》 コントロールグリップ、ステアリングノブと乗降用補助シートなどが装備されていた。《写真撮影 関口敬文》 ルーフボックスがスライドし、スライド式カーゴを降ろし、車イスを固定した状態。《写真撮影 関口敬文》 電動で車イスは持ち上がる。《写真撮影 関口敬文》 収納も自動で行われる。《写真撮影 関口敬文》 完全に収納されたら、ルーフボックスをルーフ上に移動させれば出発可能。《写真撮影 関口敬文》 マツダブース。《写真撮影 関口敬文》