三菱自動車の加藤隆雄社長は6月23日に開催された定時株主総会で、商品戦略について触れ、三菱自動車らしいクルマづくりを強調。ラリーなどへの関与などさまざまな取り組みを進めていくことを明らかにした。
「当社は持続的な成長に向けて三菱自動車らしさの再定義を行った。その三菱自動車らしさとは環境とともに安全、安心、快適をお客さまに提供すること。具体的には、当社が強みを持つ電動化技術とオフロードの高い走破性を持ったSUVの技術、そして機能的で楽しい空間での快適性能をお客さまに体感していただけるようなクルマづくりしていきたい」と加藤社長は述べた。
特に電動車については、2030年までにすべての車種に電動車を設定し、先進国を中心に電動車を積極的に導入していくという。急速に進んでいる脱炭素社会への取り組みは三菱自動車のとって大きなチャンスと捉えているのだ。
というのも電動車の開発では、2009年に世界初の量産型電気自動車『i-MiEV(アイミーブ)』を発売したことで、電気自動車のパイオニアとしての自負を持ち、他社に誇れる電動化技術やノウハウを持っていると考えているからだ。加藤社長の口からは何度も“電気自動車のパイオニア”という言葉が飛び出してきた。
とは言うものの、今や同業他社が電気自動車など電動車に力を入れたことによって、三菱自動車の電動車はその存在感をほとんどなくしてしまったと言っていいだろう。今は電気自動車と言ったら、米国のテスラを思い浮かべる人が多いに違いない。
ただ、商用の電気自動車では、『ミニキャブ・ミーブ』が国内で引っ張りだこのようになっているそうだ。「納入実績がある日本郵便をはじめとして、商談が現在増加している。ASEANにおいても、商談が始まっている」と加藤社長。さまざまな業界の大手企業20〜30社と実証実験の話が進んでいるとのことで、2〜3年のうちにミニキャブ・ミーブの改良モデルを投入する予定だ。
「ラリーアートの復活も5月に発表した。まずは純正アクセサリーとして広いモデルに展開していく予定だが、今後ラリーなどへの関与も検討していく。このように当社は再定義した三菱自動車らしさを具現化するために、さまざまな取り組みを進めていく」と加藤社長は力強く話す。
しかし、株主から復活してほしいとの要望が出た『ランサーエボリューション』については、現時点で商品化の計画はないとことだ。「電動化には大きな開発費がかかるし、まだ会社として体力が十分ではない。前期に大きな赤字を出したので、まず会社を復活してからファンの皆様が待っているクルマを少しでも出していきたい」と加藤社長。
いずれにしても三菱自動車が現在販売している車は、ホームページを見ると16車種あるが、どれも印象が薄い。販売台数のランキングを見ても、登録車で50位以内に入っているのは2車種だけ。それも40位以下だ。「三菱自動車らしさを具現化する」というなら、ユーザーが「これぞ三菱車」と話題になるクルマを出してもらいたいものだ。
三菱自 加藤社長「ラリーの関与も検討していく」
2021年06月24日(木) 09時54分
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