ヤマハ発動機が輸入販売するフランスの高級ボート「PRESTIGE 420」(ジャパン・インターナショナルボートショー2024)《写真撮影 宮崎壮人》

日本最大級のマリンイベント「ジャパン・インターナショナルボートショー2024」が3月21日に開幕した。63回目を数える今回は「あふれる笑顔、この海でずっと」をテーマに掲げ、「次世代の海好き」に向けてマリンレジャーの魅力を訴求する。会場はパシフィコ横浜、横浜ベイサイドマリーナなど。

コロナ禍でマリンレジャー人口は増加したものの、2023年はボートの販売や免許取得が前年割れ。またマリンレジャー人口は年々高齢化が進むとあって、今回のショーでは特に「次世代の担い手」にアピールすべく、会場を大幅に拡張したほか、子ども向けの体験プログラムを充実させるなど取り組む。ボートのシェアリングをはじめとした「ことづくり」に注力し、海遊びの楽しさを広めマリン人口の拡大をめざす。

◆3年連続で売上・利益更新のヤマハ
そうした中「新たなマリンライフを提案する」のが、ボートや船外機をはじめとしたマリン事業を手がけるヤマハ発動機だ。ヤマハといえば日本を代表するバイクメーカーというイメージだが、実はマリン事業は主力のひとつ。マリン事業はヤマハの利益の45%を占めるまでに成長している。

ヤマハはボートショーの会場で、マリン事業において3年連続で売上高・利益ともに過去最高を達成したと発表した。

全社売上2兆4148億円のうちマリン事業で5475億円(前年は5170億円)、同利益2507億円のうち1137億円(同1092億円)を占める。利益に関しては全体の45%と、主力事業のひとつとして大きく成長していることがうかがえる。米国の大型船外機(ボート用エンジン)需要が堅調で、ヤマハの主力商品である300馬力以上の大型船外機の出荷が増加したのが大きな要因だ。

2024年についても大型船外機需要が続くとみられ、新モデル『F350B』の投入や、アジア市場の堅調な需要などで、さらなる増収・増益を見込んでいる。フラッグシップモデルとなる最大馬力の『F450』は、今回のショーで初出展となった新型フィッシングボート『YFR330』に搭載されることで初めて国内市場へも導入される。

そんなヤマハが今回のショーでアピールするのは、「マリン版CASE」と高級輸入ボートを中心とした「新たなマリンライフの提案」だ。

◆ヤマハが描く「マリン版CASE」
マリン版CASEは、ヤマハが中期計画の中で成長戦略の柱として掲げるもの。コネクテッド、オートノマス、シェアード、エレクトリック、それぞれにおいて先進技術を活用することでユーザーのマリンライフを豊かにすることをめざす。コネクテッドついては、2021年に買収したSiren Marine社との協業で、離れた場所でもボートの状態を確認できるアプリの運用を米国で開始。シェアードでは昨年出資したフィンランドのITスタートアップSkipperi社との協業で、DXを活用した新たなマリン体験プラットフォームの提供、海外シェアリングビジネスへの参入を加速する。国内では全国約140箇所のマリーナで展開する「Sea-Style」に、スマートフォンを活用した航行支援アプリを5月より導入する。

オートノマスについては、ヤマハ独自の操船システム「Helm Master EX」の採用を拡充する。ジョイスティックでボートの離岸・接岸操作を簡単にできるほか、自動操舵機能や定点保持機能を備え、ユーザーからも好評だという。国内市場でも新型のYFR330をはじめ3モデルに搭載する。今後は、自動着岸機能も備わる見込みだ。また、マイナーチェンジしたフィッシングボート「DFRシリーズ」にはトヨタ自動車と共同開発した船内機艇専用の操船システム「Y-FSH」を採用する。

エレクトリックについては、今年1月に買収したドイツの電動推進機メーカーTorqeedo社との連携によって、エレクトリック領域の開発強化、カーボンニュートラル対応の加速、そして早期の小型電動ラインアップ構築をめざすほか、「中型電動船外機にもシナジーを生み出し、成長するマリン電動領域においても、リーディングカンパニーを目指す」(マリン事業本部国内事業推進部 吉田竜也 事業推進部長)。

これらに加え、ヤマハが開発を進める水素エンジンのマリン展開や、燃料電池、合成燃料などマルチパスウェイによるカーボンニュートラルをめざす。植物由来の強化樹脂によるエンジンカバーの採用、天然由来繊維の艇体への活用など、素材ベースでのサスティナビリティも追求していく。これらの素材や技術は、ボートショーのヤマハブースでも確認することができる。

◆「滞在型マリン文化」を日本に
「新たなマリンライフの提案」としてアピールするのは、ヤマハが輸入販売をおこなうフランスの高級ボートブランド「PRESTIGE」を中心とした、国内ではまだあまり浸透していない「滞在型マリンライフ」だ。今回のボートショーでは、PRESTIGEとして初めてヤマハブース内に商談スペースを用意したほか、係留展示をおこなう横浜ベイサイドマリーナ会場には、3艇のPRESTIGEを並べた。その合計金額は5億円を軽く超える。

今回の展示にはなかったが、ヤマハは6月にカタマランタイプ(双胴型)のサロンクルーザー『PRESTIGE M48』を発売する。これは全幅6mにおよぶサイズで、全長は48フィートながら1クラス上の60フィート級の居住空間を特徴とする。また双胴型の強みである高い安定性によって、洋上でも快適に過ごすことができる。

日本では行き先やレジャーを決めた日帰りの「目的型マリンライフ」が主流だが、欧州では洋上のボートで別荘のように過ごす滞在型マリン文化が定着しており、これを新たなレジャーとして普及させ、活性化させるねらいだ。

前出の吉田氏は、「マリン事業の長期ビジョンとして掲げている『信頼性と豊かなマリンライフ』をお客様に提供し、海の価値をさらに高める事業を目指してまいります」と語っている。

◆24日まで開催 レクサス、GRに超高級車も
「ジャパン・インターナショナルボートショー2024」は3月24日まで開催。パシフィコ横浜での屋内展示、横浜ベイサイドマリーナでの海上展示、八景島マリーナでの体験プログラムのほか、オンライン展示(こちらは5月31日まで)もおこなう。パシフィコ横浜と横浜ベイサイドマリーナの入場料は一般(高校生以上)1500円で、中学生以下は無料。2会場に入場可能となっている。

ヤマハ以外にも、トヨタやホンダ、スズキ、カワサキといった国内大手メーカーがボートやマリンライフの展示をおこなう。また、ボートユーザーをターゲットに超高級車ブランドが軒を連ねるのもボートショーの見どころ。アストンマーティン、マクラーレン、マセラティ、ロータス、ランボルギーニといったスーパーカーが並ぶ。

今回は初めてトヨタGRがブースを構えているのもトピックだ。『GRスープラ』の市販車とレース車両が展示されている。同じトヨタ系の高級ブランドであるレクサスは『LM』と『LBX』を展示。初めて商談ブースも設けたほか、試乗の受付もおこなっている。クルマファンにとっても楽しめるイベントとなる。

ヤマハ発動機が輸入販売するフランスの高級ボート「PRESTIGE 420」(ジャパン・インターナショナルボートショー2024)《写真撮影 宮崎壮人》 ヤマハ発動機が輸入販売するフランスの高級ボート「PRESTIGE」(ジャパン・インターナショナルボートショー2024)《写真撮影 宮崎壮人》 6月に発売する「PRESTIGE」のカタマランタイプ「PRESTIGE M48」の模型(ジャパン・インターナショナルボートショー2024)《写真撮影 宮崎壮人》 ヤマハ発動機が輸入販売するフランスの高級ボート「PRESTIGE」(ジャパン・インターナショナルボートショー2024)《写真撮影 宮崎壮人》 ヤマハ発動機が輸入販売するフランスの高級ボート「PRESTIGE」(ジャパン・インターナショナルボートショー2024)《写真撮影 宮崎壮人》 ヤマハ発動機が輸入販売するフランスの高級ボート「PRESTIGE」(ジャパン・インターナショナルボートショー2024)《写真撮影 宮崎壮人》 ヤマハ発動機が輸入販売するフランスの高級ボート「PRESTIGE」(ジャパン・インターナショナルボートショー2024)《写真撮影 宮崎壮人》 ヤマハ発動機が輸入販売するフランスの高級ボート「PRESTIGE」(ジャパン・インターナショナルボートショー2024)《写真撮影 宮崎壮人》 ヤマハ発動機が輸入販売するフランスの高級ボート「PRESTIGE」(ジャパン・インターナショナルボートショー2024)《写真撮影 宮崎壮人》 ヤマハ発動機が輸入販売するフランスの高級ボート「PRESTIGE」(ジャパン・インターナショナルボートショー2024)《写真撮影 宮崎壮人》 ヤマハ発動機が輸入販売するフランスの高級ボート「PRESTIGE」(ジャパン・インターナショナルボートショー2024)《写真撮影 宮崎壮人》 ヤマハ発動機の大型船外機。写真は参考出品の2機(ジャパン・インターナショナルボートショー2024)《写真撮影 宮崎壮人》 ヤマハ発動機の船外機シリーズ(ジャパン・インターナショナルボートショー2024)《写真撮影 宮崎壮人》 ヤマハ発動機の船外機シリーズ(ジャパン・インターナショナルボートショー2024)《写真撮影 宮崎壮人》 ヤマハ AX220(ジャパン・インターナショナルボートショー2024)《写真撮影 宮崎壮人》 ヤマハ AX220(ジャパン・インターナショナルボートショー2024)《写真撮影 宮崎壮人》 ヤマハの次世代ボート制御システム「Helm Master EX」(ジャパン・インターナショナルボートショー2024)《写真撮影 宮崎壮人》 ヤマハの次世代ボート制御システム「Helm Master EX」(ジャパン・インターナショナルボートショー2024)《写真撮影 宮崎壮人》 植物由来の強化樹脂を使ったカバーが採用された水上バイクのエンジン(ジャパン・インターナショナルボートショー2024)《写真撮影 宮崎壮人》 植物由来の強化樹脂を使ったカバーが採用された水上バイクのエンジン(ジャパン・インターナショナルボートショー2024)《写真撮影 宮崎壮人》 植物由来の強化樹脂を使ったカバーが採用された水上バイクのエンジン(ジャパン・インターナショナルボートショー2024)《写真撮影 宮崎壮人》 ヤマハの水上バイク「ウェーブランナー」(ジャパン・インターナショナルボートショー2024)《写真撮影 宮崎壮人》 ヤマハの電動推進機「HARMO」(ジャパン・インターナショナルボートショー2024)《写真撮影 宮崎壮人》 ヤマハの電動推進機「HARMO」(ジャパン・インターナショナルボートショー2024)《写真撮影 宮崎壮人》 ヤマハブースの展示(ジャパン・インターナショナルボートショー2024)《写真撮影 宮崎壮人》 ヤマハブースの展示(ジャパン・インターナショナルボートショー2024)《写真撮影 宮崎壮人》 ヤマハブースの展示(ジャパン・インターナショナルボートショー2024)《写真撮影 宮崎壮人》 亜麻繊維を使った新素材FRPの水上バイク「スーパージェット」試作機(ジャパン・インターナショナルボートショー2024)《写真撮影 宮崎壮人》 亜麻繊維を使った新素材FRPの水上バイク「スーパージェット」試作機(ジャパン・インターナショナルボートショー2024)《写真撮影 宮崎壮人》 ヤマハの電動推進機「HARMO」を搭載した「SR330」(ジャパン・インターナショナルボートショー2024)《写真撮影 宮崎壮人》 ヤマハ発動機 マリン事業本部国内事業推進部 吉田竜也 事業推進部長(ジャパン・インターナショナルボートショー2024)《写真撮影 宮崎壮人》 ヤマハブースの展示(ジャパン・インターナショナルボートショー2024)《写真撮影 宮崎壮人》 ジャパン・インターナショナルボートショー2024 開会式《写真撮影 宮崎壮人》 2024ミス日本「海の日」有馬佳奈さん(ジャパン・インターナショナルボートショー2024)《写真撮影 宮崎壮人》 ヤマハの洪水・水難救助艇『RS-13』(ジャパン・インターナショナルボートショー2024)《写真撮影 宮崎壮人》 ヤマハブースの展示(ジャパン・インターナショナルボートショー2024)《写真撮影 宮崎壮人》 ヤマハブースの展示(ジャパン・インターナショナルボートショー2024)《写真撮影 宮崎壮人》 ヤマハ発動機が輸入販売するフランスの高級ボート「PRESTIGE」(ジャパン・インターナショナルボートショー2024)《写真撮影 宮崎壮人》 ヤマハ発動機が輸入販売するフランスの高級ボート「PRESTIGE」(ジャパン・インターナショナルボートショー2024)《写真撮影 宮崎壮人》 ヤマハ発動機が輸入販売するフランスの高級ボート「PRESTIGE」(ジャパン・インターナショナルボートショー2024)《写真撮影 宮崎壮人》 ヤマハ発動機が輸入販売するフランスの高級ボート「PRESTIGE」(ジャパン・インターナショナルボートショー2024)《写真撮影 宮崎壮人》 レクサス(ジャパン・インターナショナルボートショー2024)《写真撮影 宮崎壮人》 『LBX』と『LM』を展示したレクサス(ジャパン・インターナショナルボートショー2024)《写真撮影 宮崎壮人》 レクサス LM(ジャパン・インターナショナルボートショー2024)《写真撮影 宮崎壮人》 レクサス LBX(ジャパン・インターナショナルボートショー2024)《写真撮影 宮崎壮人》 トヨタ PONAM-28(ジャパン・インターナショナルボートショー2024)《写真撮影 宮崎壮人》 スズキ(ジャパン・インターナショナルボートショー2024)《写真撮影 宮崎壮人》 ホンダ(ジャパン・インターナショナルボートショー2024)《写真撮影 宮崎壮人》 ホンダ(ジャパン・インターナショナルボートショー2024)《写真撮影 宮崎壮人》 ホンダ(ジャパン・インターナショナルボートショー2024)《写真撮影 宮崎壮人》 ホンダ(ジャパン・インターナショナルボートショー2024)《写真撮影 宮崎壮人》 GRスープラ(ジャパン・インターナショナルボートショー2024)《写真撮影 宮崎壮人》 ランボルギーニをはじめ高級車が並ぶ(ジャパン・インターナショナルボートショー2024)《写真撮影 宮崎壮人》 マクラーレン 750S(ジャパン・インターナショナルボートショー2024)《写真撮影 宮崎壮人》 ロータス(ジャパン・インターナショナルボートショー2024)《写真撮影 宮崎壮人》 ロータス エレトレ(ジャパン・インターナショナルボートショー2024)《写真撮影 宮崎壮人》 ベントレー ベンテイガ(ジャパン・インターナショナルボートショー2024)《写真撮影 宮崎壮人》 マセラティ グラントゥーリズモ(ジャパン・インターナショナルボートショー2024)《写真撮影 宮崎壮人》 アストンマーティン(ジャパン・インターナショナルボートショー2024)《写真撮影 宮崎壮人》 アストンマーティン DB12ヴォランテ(ジャパン・インターナショナルボートショー2024)《写真撮影 宮崎壮人》 レクサス LBX(ジャパン・インターナショナルボートショー2024)《写真撮影 宮崎壮人》