BMW iX5 ハイドロジェン《photo by BMW》

BMWグループは6月21日、SUV『X5』をベースにした燃料電池車のBMW『iX5ハイドロジェン』(BMW iX5 Hydrogen)を7月13日、英国で開幕する「グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード2023」に出展すると発表した。


◆374hpのパワーはBMWの直6ターボに匹敵
iX5ハイドロジェンには、BMWグループの第5世代のEVパワートレイン「eDrive」が搭載される。電気モーターは最大出力374hpを引き出す。374hpのパワーは、BMWの直列6気筒ガソリンターボエンジンの出力に相当する。これにより、BMWブランドらしいドライビングダイナミクスを可能にしているという。モーターの上に配置されたバッテリーは、追い越しや加速時にブースト電力を供給する。

燃料電池システムは、水素と酸素の化学反応によって、最大170hpの電気エネルギーを生み出す。燃料電池の下にレイアウトされる電気コンバーターは、電圧レベルを電動パワートレイン、ブレーキエネルギー、燃料電池からのエネルギーによって供給されるバッテリーの両方の電圧レベルに適合させる。

iX5ハイドロジェンには、700バールの水素タンク2個が搭載されており、CFRP製のこのタンクには、最大6kgの水素を積むことができる。水素の充填にかかる時間は3〜4分だ。

◆「BMW iブルー」のアクセント
iX5ハイドロジェンのデザインには、X5をベースにしながら、持続可能なキャラクターに焦点を当てたアクセントを細部に取り入れる。外観には、「BMW iブルー」のアクセントが添えられた。アルミホイールも専用デザインとなり、燃料電池車であることを示している。キドニーグリルの内側の縁取り、22インチのエアロホイールのインサート、リアバンパーの外側部分のアタッチメントも、BMW iブルー仕上げだ。インストルメントパネルのエントリーシルとカバートリムには、「hydrogen fuel cell」の文字が配されている。

エアロホイールには、天然ゴムとレーヨンを使って持続可能な方法で製造されたタイヤを組み合わせる。その素材は、森林管理協議会(FSC)組織の基準に準拠して抽出された。BMWグループは、認定された天然ゴムとレーヨンのみで作られたピレリ製タイヤを市販車に採用した世界初の自動車メーカーになる、と自負する。

フロントの冷却エア開口部を覆うメッシュインサート、リアバンパー、ディフューザーも、専用デザインとした。キドニーグリル周囲の装飾、2つの外気取り入れ口、リアエンド下部トリムのパーツは、3Dプリントを使用して部品を製造するBMWグループのアディティブマニュファクチャリングキャンパスから供給される。アディティブマニュファクチャリングにより、部品の高速で柔軟性の高い生産が可能に。その一部は、従来の生産方法では不可能な幾何学的形状を備えているという。

◆約100台を生産し世界規模で実証テスト
iX5ハイドロジェンは約100台が生産され、リアルワールドでの実証テストを世界規模で行う。BMWグループは、iX5ハイドロジェンのパイロット車両を実世界で使用することが、貴重な知識を提供すると見込む。この公道での実証テストが、将来のiX5ハイドロジェンの量産化への道を開くと期待している。

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