スズキ・アルト新型《写真提供 スズキ》

スズキが2月4日に電話会議で発表した2022年3月期の第3四半期(4〜12月期)連結決算は、主力のインド販売の回復などにより、営業利益は前年同期比5.7%増の1467億円となった。通期予想は売上高を上方修正したが営業利益等は据え置いた。

第3四半期の四輪車グローバル販売は11%増の194万9000台となった。前年に一時期ロックダウンとなっていたインドは8%増の95万8000台に回復した。このほか、欧州も21%増の18万1000台と大きく伸ばしたものの、半導体不足で生産調整が続く日本は9%減の40万5000台にとどまった。

営業損益の増益要因では、販売の回復による売上・構成変化等が1253億円に及んだ。為替も全通貨に対して円安方向となり、全体で323億円の増益に作用した。一方で原材料費の上昇影響が大きく890億円もの減益要因となった。売上高は18.3%増の2兆5743億円、純利益は19.9%増の1358億円となり、この期では3期ぶりの増収増益だった。

通期予想は、グローバル販売を17万9000台上方修正して266万5000台(前期比4%増)とした。インドは3%の増加を見込んでいる。これにより、売上高は従来比で2000億円上方修正の3兆4000億円(7%増)に見直した。しかし、諸経費の増加や原材料費の高騰を織り込み、営業利益は1700億円(13%減)、純利益は1500億円(2%増)の従来予想を据え置いた。純利益は2期連続の増益だが、営業利益は4期連続の減益となる。

電話会議に出席した長尾正彦専務役員は、営業利益などを据え置いた通期の見込みについて「原材料費の高騰による減益影響は通期で1100億円を見込んでおり、従来比で200億円の上ぶれとなっている。われわれの懸念材料だ」とし、半導体不足による生産影響に加え、大きな利益圧迫要因になると指摘した。

一方、半導体を中心とする部品の供給不足によるグローバルでの生産影響は、期初の生産計画比で41万台の減少になるとの見通しを示した。従来は65万台規模の減少としていたが「インドで半導体の影響の少ない車種の生産を増やすことや、サプライヤーさんと日々調整を進めるなどの取り組み」によって、減産幅は圧縮できる見通しという。

スズキ・セレリオ新型《写真提供 スズキ》 スズキ・スイフト (インド仕様)《photo by Suzuki》