(新聞ウォッチ)

気になるニュース・気になる内幕---今日の朝刊(朝日、読売、毎日、産経、東京、日経の各紙・東京本社発行最終版)から注目の自動車関連記事をピックアップし、その内幕を分析するマスコミパトロール。


2018年9月7日付

●北海道震度7死者9人、28人不明305人負傷、一時全域が停電(読売・1面)

●吉沢ひとみ容疑者飲酒ひき逃げ逮捕「モー娘。」元リーダー(読売・30面)

●自動車・住宅の減税検討、自民・宮沢税調会長、消費増税対策で(朝日・7面)

●関空制限利用長期化か、訪日客、物流の影響大(朝日・8面)

●N-BOX首位1年通して守る、8月新車販売(朝日・8面)

●工場停止物流寸断、トヨタ部品供給の拠点が、電機・製鉄・製紙も(朝日・9面)

●ベンツ・アウディ相次ぎ投入、高級車市場HVの波(産経・12面)

●悪魔の力身につけた「オロチ」光岡、デビルマンコラボの限定車(産経・12面)

●自動車総連会長「人への投資を」来年春闘へ向け意向(東京・6面)

●アフリカ50か国で保険、東京海上、南ア大手に出資(日経・1面)

●ウーバーがタクシー配車、国内まず名古屋、350台対応(日経・15面)


ひとくちコメント

「天災は忘れたころにやってくる」ということわざもあるが、日本列島は忘れたころどころか、のべつ幕なしに自然災害に見舞われては息つく暇もない。

関西・中部地方を中心に猛威を振るった台風21号に続いて、震度7の大規模地震が北海道を襲った。道内では死者9人のほか、300人以上が負傷し、行方不明者や連絡が取れない住人も多数いるという。

また、道内全域で大規模な停電が発生し、電力や交通機関などインフラ機能がストップ状態。全域の電力の完全復旧には少なくとも1週間かかる見通しだそうだ。

きょうの各紙も「北海道震度7」と全紙が1面トップで報道。「北海道インフラ崩壊」(毎日)や「全域停電復旧に1週間以上」(朝日)などのタイトルで、経済活動にも影響が出ており「台風21号に続き、相次ぐ自然災害は国内経済への波乱リスクとなりかねない」(日経)と伝えている。

国内経済の影響は自然災害ばかりではない。2019年度の税制改正について、自民党の宮沢洋一・税制調査会長が報道各社のインタビューで「(19年10月に予定している)消費税率の引き上げに伴う消費の反動減を、どう平準化していくか検討したい」と述べ、経済への悪影響を抑えるため、住宅や自動車の購入者に対する減税の拡充を検討する考えを示したという。

きょうの各紙が「自動車・住宅の減税検討」などと取り上げているが、記事によると、宮沢氏は自動車関連税について「自動車の取得税や保有税は他の国に比べ、若干高い」と述べ、具体的には、自動車に適用される「エコカー減税」の拡充などを検討するとみられる。

ただ、自動車業界が求める恒久的な自動車減税については「(自治体が)道路の維持補修などに相当多額の負担をしているのも事実」として「両方の意見を聞きながらやっていかなければならない」と述べるにとどめたという。

19年度の税制改正では自動車税の軽減に関する議論の火ぶたが切られたようだが、恒久的な自動車減税の要望は、5月に日本自動車工業会の会長に再び就任した豊田章男・トヨタ自動車社長の最優先課題でもある。消費増税後の反動減を抑えるための時限的な減税対策では焼け石に水であり、今月20日に予定している会長会見を機に、自動車ユーザーなど各方面に広く訴えかけるとともに、水面下での駆け引きも本格化する。

一方で、米トランプ政権よる輸入車への高率関税の適用も現実味を帯びており、国内生産への影響も無視できない。せめて軽自動車並みの恒久的な自動車減税は、国内経済を維持するためにも一歩も譲れない最低限の条件だろう。

平成30年北海道胆振東部地震(9月7日、北海道厚真町) (c) Getty Images 平成30年北海道胆振東部地震(9月7日、北海道厚真町) (c) Getty Images