そんなのアリ? 8月30日におこなわれたマツダ・デミオの商品改良で目を疑うような事件が起きた。なんと、これまでガソリンエンジンの主力だった1.3リットルエンジンを廃止。かわりに排気量を200ccアップした1.5リットルエンジンに格上げされたのである。
価格設定に驚かされた!
「最近『プレミアム』という言葉が好きなマツダのことだから、そんなのは値上げの口実に違いない」と思いきや、どうやらそうではないのだからビックリだ。だってボトムグレードの「13C」改め「15C」や、主力グレードとなる「13S」改め「15S」の価格が信じられないのだから。驚くことに、新型でも1.3L時代の相当グレードと同価格。排気量を上げると車両価格も上がるのは普通だけど、それをしなかったのだ。「15C」や「15S」を買う限りはユーザーのデメリットが何も見つけられない、前代未聞の珍事といっていいだろう。ユーザーサイドとしてはただただメリットでしかないのだ。どうしちゃったのマツダ?
たしかに、「15Sツーリング」や「15Sツーリング Lパッケージ」は今回の変更で車両価格が1万6200円上がっている。しかしこの価格アップはディーゼルエンジンを積む同等グレードも同様におこなわれ、その理由は新たに標準装備となった「スーパーUVカットガラス・IRカットガラス」によるもの。もっといえば「15Sツーリング Lパッケージ」は従来の同等グレードに対して3万7800円高くなったが、これは「スーパーUVカットガラス・IRカットガラス」に加えてタイヤが1インチアップの16インチになったから。そう考えれば実質的な価格アップは無いに等しいのだ。もちろん自動車税なども1.3Lモデルと変わらない。
マツダの“走り”にかける思い
マツダによると今回の変更は「ゆとりあるスムーズな走りの実現」のためで、「エンジン効率の良い領域を有効に活用できるから、アクセルの踏み込みやシフトダウンの頻度が減少し、実用領域における燃費の向上にも貢献します」とのこと。気になる燃費はカタログの表示が従来のJC08モードから新型ではより実走行に近いWLTCモードに変更になったこともあって従来の1.3Lモデルとの直接比較はできない(カタログ数値上は落ちている)が、実走行では期待できる。なぜなら従来モデルでも、実燃費は1.3Lモデルより1.5Lエンジンを搭載した「15MB」のほうがよかったのだから(マイカー燃費管理サービス「e燃費」のデータにも表れている)。
排気量アップによって動力性能と燃費を高めつつ、お財布には優しく。とりあえず「排気量は小さいほうがコストパフォーマンスに優れる」という考えは、さっぱりと捨てたほうがよさそうだ。マツダの戦略、恐るべしである。
トルクアップで快適に
ちなみに従来から1.5Lエンジンを搭載していた「15MB」のエンジンと、新型デミオの“「15MB」以外のグレード”のエンジンは同じではない。モータースポーツ向け仕様でハイオクガソリンを指定されている「15MB」に対し、通常モデルのエンジンは圧縮比を落としたレギュラーガソリン仕様でわずかに出力とトルクが落ちているのだ。とはいえ、1.3L時代に比べるとトルクが太くなって、乗りやすさは大きく高まっている。
きっとマツダのエンジニアは今ごろこう言っているに違いない「よく考えたら、適正な排気量がいちばんよかった」と。車両価格が変わらないのあれば、それが一番いいこと。それにしても、価格アップなしって…。
1.3Lはもうやめた! デミオが実質価格アップなしでガソリン全車1.5L化
2018年08月30日(木) 16時25分
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