麻生太郎財相、自賠責運用益繰戻「継続していくことは極めて重要」と語る(26日・永田町)《撮影 中島みなみ》

自動車ユーザーが負担した保険料の運用益6169億円の一部、23億2000万円の返済が来年度予算案に組み込まれた。15年ぶりの返済となることについて、麻生太郎財相が26日の会見でコメントした。閣議後会見で触れるのは、昨年12月の大臣合意後初めてのことだ。

「そういったものをきちんとした対応をしなきゃならんことは当然ということで、23億を繰り戻した(=返済した)」

1月24日に開催された金融庁の「自賠責保険審議会」では、返済が実施される見通しについて事故被害者団体が同意しながらも、複数の委員から、再来年以降についても返済が実行されることを求める意見が相次いだ。さらに、審議会の委員を中心とした「自賠責制度を考える会」の活動が来年度も継続されることも表明された。単年度主義の予算で、次がどうなるかが心配なのだ。

石井啓一国土交通相と麻生氏の大臣覚書では、返済期間を7年から4年に短縮することや、被害者保護のための事業が安定的、継続的に実施されることが新たに盛り込まれて、過去15年間と比較すると、財務省が運用益の被害者救済の役割に配慮してきたことがわかる。麻生氏はこう語った。

「継続性に関することでもあるので、ご家族の不安を考えると、継続していくことは極めて重要だと思う」

自賠責運用益を使った事故被害者保護増進事業は、後遺障害など専門治療を行う療護施設などの充実、介護者なき後の被害者の生活支援などのため、2018年度案で137億1000万円が見込まれた。前年度より10億5000万円増額された。