ダイハツ工業 井上雅宏 社長《写真撮影 小松哲也》

まるで、“不肖の息子”に「早くやれ」と檄を飛ばしながら能力以上の宿題を与えたところ、間違いだらけの答案をみて落胆した過保護の“教育パパ”が、苦肉の策として抱え込んでやり残した宿題を入念にチェックしながら仕上げて学校に提出するようなものではないだろうか。

トヨタ自動車の完全子会社のダイハツ工業が、自動車の認証申請をめぐる大規模な不正が発覚したことを受け、これまでダイハツが担ってきた新興国向け小型車の開発や認証取得を親会社のトヨタ自動車に移管し、トヨタが責任を持つ体制に改めるという。

3月1日付けでダイハツの社長に就任したばかりのトヨタ出身の井上雅宏氏らが、都内で記者会見を開いて発表したもので、きょうの各紙にも経済面などに大きく取り上げている。

このうち、読売は「親会社のトヨタ自動車がダイハツの経営への関与を強化する」として「ダイハツの新興国向けの小型車事業は、トヨタから受託する形での生産に移行した上で、トヨタが開発や認証取得に最終的な責任を持つ体制に改める」などと報じている。

朝日も同様に「認証責任トヨタが負う」との見出しで「ダイハツの負担を減らし、不正の再発防止を図る」としている。

また、毎日も「これまでダイハツが単独で担ってきた小型車の開発や認証取得をトヨタに移管。トヨタが責任を持ち、工程ごとに介入する形にすることで、不正の温床となったダイハツの新車開発への負担を軽減するとともに、再発防止の実効性を担保したい考え」とも伝えている。

産経は「ダイハツ、『軽』集中に軸足」とのタイトルで、「身の丈を超えた業務量が不正の一因となった反省から、主力の軽自動車事業により経営を集中する」としている。

さらに、この日、ダイハツは不正が発生した責任を明確化するため、旧経営陣の23年度賞与返納も発表。各紙にも「松林淳前会長、奥平総一郎前社長、星加宏昌副社長の3人が全額、その他の元取締役も50〜10%を返納した」などと取り上げていたが、長年にわたり大規模な不正を見過ごしてきた親会社としての“監督責任”については、相も変わらず藪の中のままである。

2024年4月9日付

●乗客の安全制度模索、ライドシェア開始、タクシー不足緩和と両立へ (読売・9面)

●認証責任トヨタが負う、小型車事業ダイハツ表明、旧経営陣賞与返納 (朝日・7面)

●鉄鋼大手買収日米に影、USスチール大統領選の具に (毎日・3面)

●2月経常黒字2.6兆円、自動車輸出増貿易赤字半減(毎日・6面)

●春の名橋まつり、日本橋に名車40台、愛好者ら記念撮影楽しむ (毎日・17面)

●倒産急増9年ぶり9000件超、昨年度31%増、物価高、人手不足(産経・1面)

●ヤマト「置き配」本格化へ、6月から再配達の減少に期待 (東京・2面)

●水素ステーション、共同で、岩谷・コスモHD、都内に開業 (日経・13面)

組織と担当業務(改正前)《画像提供 トヨタ自動車》 組織と担当業務(改正後)《画像提供 トヨタ自動車》