斉藤氏《写真撮影 編集部》

「若返り」や「業績不振」、そして「健康問題」など、今年も多くの企業で経営トップの交代が行われたが、この会社ほど,実に情けない理由で、社長の座を追われた例は少ないだろう。

石油元売り最大手のENEOS(エネオス)ホールディングス(HD)では、女性へのセクハラ行為が発覚したとして、斉藤猛社長を12月19日付けで解任したという。エネオスといえば、昨年も前会長がセクハラ行為で辞任しており、2代続けて経営トップが女性への不適切行為で辞めざるを得なかったという異例の事態となった。

◆コンプライアンス窓口に通報
同社が緊急の記者会見を開いて発表したもので、きょうの各紙にも「エネオス社長解任、酒に酔って女性に抱きつく」などと、経済面や社会面に大きく取り上げている。それによると、斉藤氏は懇親の場で深酔い状態になり、同席していた女性に抱きつくなどの不適切行為があったという。11月末にコンプライアンス窓口への内部通報があり、発覚したそうだ。

斉藤氏は外部弁護士によるヒアリング調査に対し「記憶がない」と弁明しながらも「度を越して飲酒したこと自体が問題であり、自制ができておらず大変恥ずかしくて申し訳ない」と述べるなど、不適切行為を否定しなかったという。

エネオスHDでは、斉藤猛社長の解任とともに、懇親会に参加していたコンプライアンス部門トップの谷田部靖副社長も辞任、さらに、男女間の役割分担意識を想起させる発言をしたとして須永耕太郎常務執行役員を月額報酬30%減額(3カ月)。このほか、大田勝幸会長も月額報酬30%を6カ月間自主返納するなどと発表。当面、斉藤氏の後任の社長は置かず、宮田知秀副社長が代行を務め、来年2月をめどに新体制を決めるという。経団連も、斉藤氏が務めていた審議員会副議長を同日付で退任したと発表している。

◆再発防止に取り組んでいる最中に
エネオスの経営首脳によるセクハラ行為をめぐっては、昨年8月に会長グループCEO(最高経営責任者)や業界団体の石油連盟会長を歴任した杉森務氏も「一身上の都合」で辞任。その後、女性へのわいせつ行為をしていたことが判明しており、杉森氏の不祥事を受けて、役員に対する研修などの再発防止策に取り組んでいる最中だったという。

巷では、久しぶりの忘年会などで繁華街ある飲食店は盛況のようだが、無礼講の宴会でも和気あいあいと酒を酌み交わしながらドンチャン騒ぎした昔のようにはいかず、羽目を外せば一発でレッドカードを提示される。くわばら、くわばら……。

2023年12月20日付

●日本製鉄社長「成長力取り戻す」、米鉄鋼買収、脱炭素を推進(読売・2面)

●社説、大雪立ち往生、回避には事前の備えが必要だ(読売・3面)

●エネオスHD斎藤社長解任、女性にセクハラ「2代連続」(読売・6面)

●損保4社カルテル疑い、企業向け常態化か、公取委立ち入り(読売・31面)

●東芝上場廃止待ち受ける試練、きょう74年の歴史に幕(朝日・6面)

●「出口戦略」観測打消し、金融政策決定会合、日銀総裁、賃上げ見極め(産経・11面)

●ダイハツ生産停止拡大、品質不正、6車種から増加(日経・1面)

●テラモーターズ、タイでEV充電器、来夏まで1000基計画(日経・10面)