DIY全塗装に挑戦!《画像提供 編集部》

車両価格7万円で購入したスズキ『ワゴンR』を実物大プラモデルとして遊んでみようと考えている。何をしようか悩んでいたら、ふと思いついたのが「そうだ、水性塗料で全塗装してみよう」ということだった。

◆イベント取材で何度か見た水性塗料でのDIY全塗装
カスタム系のイベントブースで刷毛やローラーで全塗装しているのを見たことがある。いかにも“簡単に出来ますよ!”な雰囲気を醸し出して実際見ていてもまぁ普通に塗っている感じ。ネットで塗料を購入するのだが、多めに見積もっても総額3万円弱といったところで手が出しやすくはある。

そして現代のネット社会の情報を駆使して某動画サイトをグリグリと見ていると“簡単!”“満足!”“1〜2日で出来る!”と素人をやる気にさせるような動画が多かった。まぁ自分は自他共に認める不器用人間ではあるけれど、これだけ簡単言われればどうにかなるだろうと部材を購入して全塗装DIYにチャレンジすることにした。

◆最初の関門は“常識の壁を破る”事だった
クルマは大事に乗りましょう。擦ったりぶつけたりしないように安全運転を心がけましょう。運転する人の大半はこのような常識を持ち合わせているはず。全塗装を始める準備として、とりあえず窓枠をマスキングして、水洗いでホコリや汚れを落としていく。ここまでは何てこと無く作業は進むのだが、塗料の密着を良くするために行う“足付け”でちょっとした葛藤があった。

800番の耐水ペーパーでボディ全体を“傷つける”作業だが、この感触と音が何か悪い事をしている気になってしまう。そりゃ板金屋さんからすれば当然だろうけど、こちとら素人で塗装したら傷はちゃんと消えるのかすら分からない状況。初めてしまったからにはやりきるしかないので少々ビビりながらやりきった。

足付けをした後は一旦水で洗い流した後にワックスオフで脱脂を行ってから塗装となる。改めて窓に塗料が飛んでも大丈夫な様にビニール付きのマスキングを行ってからルーフにローラーを使って白に塗り始める。

1度目はザッと塗る感じで乾かして、薄く塗り重ねる感じでやればムラなく仕上がるとのこと。その教え通りにやっていたけれど、ぶっちゃけ2日間に渡ってルーフの白を塗り重ねていた。その理由は“下の紫が透けて見える気がする”ことだ。初日に5回塗り重ね、翌日も5回は重ねている。塗料を希釈しすぎているのが原因なのかもしれない。どうにか納得出来る白さまで塗りきれたので良しとした。

◆エンブレムを外したりバンパーを外したり
綺麗に仕上げるためには手間を惜しんではダメ
ラゲッジのドアに付いているエンブレムや、バンパーとかに付いているメッキやグリル部分をどうするか、今回は覚悟を決めて外して作業を行った。

まずはエンブレム関係は大抵が両面テープで付いているので隙間に釣り糸を入れてこそぎ落としていく。その作業自体は意外と簡単に出来るのだが、残った両面テープの処理が厄介。

そこで電気ドリルに装着出来るゴムっぽい素材の両面テープ剥がしを使うと簡単に剥がすことは可能だった。が、そのカスがかなりの範囲で飛び散るので要注意。カスもちょっと粘着質で手で払うぐらいじゃ落ちきらないので水洗いが必要となる。

ボディのメインカラーはカーキっぽい色。正直この時点でまぁまぁ心が折れている。何が大変って窓全部をマスキングするのが想像以上に手間がかかる。もし全塗装をしてみようと思っているのならば、全塗装の部材を買う前にまずは窓1つをキッチリとマスキングしてみよう。それを全ての窓にやることが出来るのか、出来ると思ってから道具を揃えた方がいい。ルーフを白に塗ったときと同様に1度目は捨て塗りを行う。

そこから重ねていくわけだが、白と違って下地が透けないので3回塗れば満足いく仕上がりになった。なので調子に乗ってフロント・リアバンパーの下部、サイドスカートを白にするという“暴挙”に出て改めて後悔。白は本当に面倒で難しかった。

塗ったら余計に目立つようになった黒い樹脂部分の劣化も樹脂コートを使って黒くして、錆びて塗装が剥げていたワイパーアームもつや消しブラックで再塗装。やはり黒い部分は黒くするだけでかなり見栄えが違ってくるので満足。

◆超絶不器用な素人のDIY全塗装は結果的にどうなのか?
全てを塗り終えてみての感想だが、許容範囲が広い人であれば悪くない、かなり満足は出来る。購入した塗料が半分程度残るぐらい多めに購入してもその他部材を入れて3万円程度で収まるし、3mぐらい離れた所から見れば綺麗な仕上がりに見える。

ただ細部を見てしまうとマスキングが甘くて境目があやふやな所だったり塗料のタレが目立つ部分もある。一番キツかったのが想像以上に日数がかかったこと。8〜16時で途中ちょいちょい休憩は挟んでいるけれど5日間かかり、そしてその間はクルマを動かせない訳で。そういう意味でもDIY全塗装は一大イベントなのかもしれない。

この作業をやったのが5月のゴールデンウィーク中で、現在4か月ぐらい経過しているのだが、塗装に問題は感じていない。雨染みが目立つようになればカーシャンプーで普通に洗車をしているけれど、問題無く汚れは落ちている。マット調な仕上がりなのであまり擦ると艶っぽくなってしまう可能性もあるのでササッと洗う様にしているが、5〜6回洗車していると思うけれどマット調は維持出来ている。マット調に対応するコーティング剤が見つけられないので特にやっていないけれど現状大丈夫だ。

もう一度やれますか? と聞かれれば……、自分は半笑いでお断りするだろう。ただ、人と違ったクルマに乗りたいという個性を求める人で気合いと根性を持っているならばオススメ出来るカスタムだ。

動画情報源の巣窟である某サイトで情報収集《写真撮影 藤澤純一》 余計な所を塗らないようにマスキングを行う《写真撮影 藤澤純一》 削っている感触と音が何とも言えない気持ちにさせる《写真撮影 藤澤純一》 削った後はしっかりと洗い流した《写真撮影 藤澤純一》 ワックスオフで脱脂。乾いた後に見える傷だらけの姿は不安しか感じない《写真撮影 藤澤純一》 こういったエンブレムは何ヶ所かポッチで位置出しをしていてほとんどが両面テープ《写真撮影 藤澤純一》 ポッチ部分はエンブレムを持ち上げて躱していき、テグスを上下に動かしながら剥がしていった《写真撮影 藤澤純一》 エンブレムを剥がした後の両面テープを取るのが大変《写真撮影 藤澤純一》 残った両面テープをこそぎ落とすゴムっぽい素材のアタッチメント《写真撮影 藤澤純一》 両面テープの後を簡単に落とせるのだが、周りへの飛び散りも多いので要注意《写真撮影 藤澤純一》 今回使用した水性塗料。白とカーキの2色を購入《写真撮影 藤澤純一》 ガラスを覆っているビニール付きのマスキングはかなり手間が省けるのでオススメ《写真撮影 藤澤純一》 塗料メーカーが推奨している希釈率で捨て塗りから開始《写真撮影 藤澤純一》 この状態でたぶん3度目ぐらい。下地が見えまくっている《写真撮影 藤澤純一》 2日目の完成形がこの状態。白を塗るときには希釈せずに原液でいった方が良かったんじゃない?とも思う《写真撮影 藤澤純一》 カーキは1度目の捨て塗りでもそこそこ色が乗ってくれる《写真撮影 藤澤純一》 3度塗りでこのレベルまで塗れる《写真撮影 藤澤純一》 塗り分けのマスキングは念には念を入れて、更に気合いを入れるぐらい入念に行おう《写真撮影 藤澤純一》 エンブレムも白に塗ったのだが、持てる場所が無かったのでホットボンドの棒?にくっつけて塗装した《写真撮影 藤澤純一》 離れて見ればちゃんと塗れているように見える《写真撮影 藤澤純一》 塗り分け部分も離れていれば気にならない《写真撮影 藤澤純一》 サイドスカートのクリップが無茶苦茶固くて外すのに苦労した《写真撮影 藤澤純一》 マスキングが甘いと所々でこういう状態になる《写真撮影 藤澤純一》 垂れて放置したら最後、そのまま固まった状態《写真撮影 藤澤純一》 ローラーで塗ればゆず肌になるし、ミラーの白は刷毛塗りなので刷毛目となる《写真撮影 藤澤純一》 無駄に拘ってカーキを入れてみた。自己満足《写真撮影 藤澤純一》 ワイパー周りの樹脂部分が白くなっているのが気になってしまった《写真撮影 藤澤純一》 樹脂復活剤は色々と発売されているがプロスタッフの製品を使用してみる《写真撮影 藤澤純一》 パーツクリーナーなどで脱脂をしてから、溶剤を付属のスポンジにしみこませて塗るだけでOK《写真撮影 藤澤純一》 塗ったところと塗っていないところの差がハッキリと出る《写真撮影 藤澤純一》 塗ったところと塗っていないところの差がハッキリと出る《写真撮影 藤澤純一》 外したワイパーアームはつや消しブラックで塗装。困ったときにはつや消しブラックを塗っておけば大抵解決する《写真撮影 藤澤純一》 施工完了の状態。やはり黒いと締まりが出るのでオススメ《写真撮影 藤澤純一》 4ヶ月経過しても黒い状態を保っている《写真撮影 藤澤純一》