国内仕様初採用のボディ色「カーディナルレッド」で身を纏った新型エクストレイル《写真撮影 会田肇》

4代目としてフルモデルチェンジを果たした日産『エクストレイル』。これまで人気を集めてきたタフギア感に、ハイグレードな上質さを組み合わせたSUVとして生まれ変わった。その新型エクストレイルに搭載されたテレマティクスなども大きく進化した、その内容に注目した。

◆地図データのOTA更新やSOSコールも利用可能
新型エクストレイルに乗り込んで真っ先に飛び込んで来るのが、コンソール中央に配置された横長の12.3インチディスプレイだ。マルチメディア対応で、ホームボタンを押すと接続機器の状態とカーナビゲーションが同時表示できる。これが「Nissan Connect」の中核となるシステムだ。

「Nissan Connect」は、新型エクストレイの場合、年間7920円(税込)を支払うことで利用できる有料オプションサービスとなっている。これは用意されたコンテンツを含め、ノートなどに用意されているプランと基本的に同じと考えていい。

この加入によって実現するのは、まず「SOSコール」がある。これは緊急時にオペレータにコンタクトできる機能で、警察や消防への取り次ぎもしてもらえるサービスだ。エアバッグ作動時は自動的にオペレータにつながり、ドライバーからの応答がない場合は通報された位置情報を元に救援を手配する仕組みとなっている。

利用可能なコンテンツとして代表的なものは、手持ちのスマホと車載ナビがルート案内を引き継げる「ドアtoドア」をはじめ、声で目的地設定や音楽再生などが操作できる「ボイスアシスタント」、車載ナビの地図データを通信で自動更新する「OTA地図自動更新」など多彩なコンテンツが用意されている。ボイスアシスタントは、ウェイクアップワードとして“Hallo(Okでも可) Nissan”と呼びかけ、その後は自然言語理解による自由な会話形式でコマンドを入力できる。

◆ボイスアシスタントに加え、Amazon Alexaにも対応
また、アリアに続いて新型エクストレイルも「Amazon Alexa」に対応した。音声操作でニュースや天気予報、ネットショッピングが可能となるほか、Amazon musicによるサブスク音楽再生も可能となる。ただ、このサービスを利用する際の通信は、Nissan Connectと通信は別立てとなっており、その利用には車内Wi-Fiを実現する「docomo in car connect」(有料オプション)の加入か、スマホでのテザリング接続が必要になる。

高速道路でアクセル、ブレーキ、ステアリング操作をアシストするプロパイロットは、車載ナビと連動し、あらかじめカーブやジャンクションを地図情報から把握して車速をコントロール。車間距離のキープや車線中央を走行するためのアシストも行う。3ステップの操作だけで駐車完了するプロパイロット・パーキングにも対応した。

その他、電子ミラーに切り替えられる「インテリジェント・ルームミラー」や、駐車時は周囲を空から見下ろしているかのような表示で対応する「インテリジェント・アラウンドビューモニター」もグレード別に設定している。

◆アウトドアや非常時に役立つ大容量1500W電源をビルトイン
そして、アウトドアでの利用が想定されるエクストレイルだけに、嬉しい機能が初搭載された。それが日産の乗用車として初めて搭載した「100V AC電源(1500W)コンセント」で、カーゴルームにビルトイン装着できるようにしたのだ(Gグレードに標準、他はオプション)。

実は、この機能はすでにグループ会社である三菱自動車もPHEVに搭載しており、トヨタもハイブリッド車ならすべての車種でオプション装着できていた(『アクア』は標準装備)。それなのに日産はこれまで、e-POWER車やEVのすべての乗用車で対応してこなかった。「V2H(ヴィークルtoホーム)」を謳いながら、それを実現するには17万円前後のインバーターキットを購入する必要があったのだ。

そして、新型エクストレイルで、それがようやく実現した。USB電源ソケット(Type-C)+100VAC電源(1500W)の組み合わせで、5万2800円で装着可能となったのだ。しかも、インバーターキットと違い、ラゲッジにコンセントとして装備されており、使い勝手は抜群にいい。やっと日産車でもこの機能を実現する日が訪れたのだ。

ここまでこのコンセントが搭載されなかった理由について開発担当者は、「社内でも以前から装備すべき、との意見は出ていた。ただ、他の車種では準備が間に合わず、新型エクストレイルが登場するこのタイミングでの搭載となった。今後は採用が拡大されていくことになると思う」と回答した。まだ、断定はできないが、現行e-POWER車やEVもマイナーチェンジなどで搭載されていくのかもしれない。

新型エクストレイルの内装はSUVならではのハイクラスな雰囲気を醸し出している《写真撮影 会田肇》 横に長い12.3インチの大型ディスプレイがテレマティクス系の核となっている《写真撮影 会田肇》 電子ミラーの搭載で社内の状況に左右されない後方視界が確保できる《写真撮影 会田肇》 Nissan Connectで標準機能となっている「SOSコール」《写真撮影 会田肇》 4代目となった新型エクストレイル《写真撮影 会田肇》 4代目となった新型エクストレイル《写真撮影 会田肇》 100V AC電源(1500W)《写真提供 日産自動車》 100V AC電源(1500W)取り出しは、荷室左側、リアクォーターウインドーの下《写真提供 中野英幸》