JRグループは12月17日、ダイヤ改正を2022年3月12日に実施すると発表した。
JR旅客各社の輸送量は対2020年度比では持ち直してきているが、コロナ禍前の対2019年度との比較では依然、マイナスであることから、今回の改正でも新幹線、在来線問わず減便が中心の内容となっており、運行形態の見直しやパターンダイヤ化も目立っている。
■特急の減便…JR東日本の新幹線では多数が臨時化
新幹線では、JR東日本の新幹線(北陸新幹線のJR西日本エリアを含む)で定期列車41本を臨時列車に格下げ、利用状況に応じて運行。東北・上越新幹線では利用が少ない列車3本(うち土休日1本)を廃止する。
JR西日本とJR九州を跨る九州新幹線直通列車『さくら』でも8本が臨時列車化され、山陽新幹線内の『こだま』『ひかり』については区間により最大3本を減便する。九州新幹線内発着の『つばめ』については現行の上り最終『つばめ342号』が廃止され、23時ジャスト発の熊本行きが鹿児島中央発の最終となる。
在来線ではJR東日本で『はちおうじ』『ときわ』『しらゆき』のうち、計9本を廃止。『あずさ』『ときわ』『成田エクスプレス』では計32本で一部区間が廃止される。
JR西日本では、『サンダーバード』『しらさぎ』『能登かがり火』『くろしお』『こうのとり』『はしだて』『きのさき』『スーパーはくと』『やくも』で月〜木曜に2〜6本が減便され、その分、金曜と土休日の増発が図られる。関空連絡特急『はるか』については下りの17〜45・49・53・57号、上りの14〜40・44・48・52・56号が当面の間運休となる。
このほか、JR北海道では函館本線の『ライラック』2本を臨時列車化し年間36日程度、土休日運行の『カムイ』4本を繁忙期を中心とした年間35日程度の運行とする。
■特急の全車指定席化…JR西日本では近畿圏の特急で実施
今回の改正ではJR西日本を中心に特急の全車指定席化が図られており、『くろしお』『こうのとり』『きのさき』『はしだて』『まいづる』で実施される。また『サンダーバード』『しらさぎ』では指定席が1両拡大される。ちなみに特急ではないが、新快速で提供されている着席サービス『Aシート』が全席指定席化される。
JR東日本では山形新幹線『つばさ』が全車指定席となる。
■普通列車の減便…首都圏では通勤時間帯でも
大都市圏、ローカル線区問わず、利用動向を踏まえた減便が相次いで実施される。
JR東日本の首都圏各線では、最も運行本数が多い時間帯で1〜4本を減便。山手・中央線快速・常磐線快速・常磐線緩行・京葉の各線や首都圏以外の線区では日中、東海道・横須賀〜総武線快速・山手・中央総武線緩行・高崎・常磐線快速・常磐線緩行の各線では夕夜間も減便が実施される。
JR東海では中央本線(中央西線)の『ホームライナー』が減便され、平日・土休日とも名古屋〜瑞浪間の『ホームライナー瑞浪』上下各2本のみとなる。
JR西日本では日中時間帯を中心に各線で減便される。
■運行形態の見直し…日中の常磐線は土浦乗換えに
JR東日本では八高線・川越線八王子〜高麗川〜川越・南古谷間をワンマン化。八高線と五日市線では中央快速線への直通が中止される。相模線では朝夕の横浜線直通が中止される。房総地区では成田〜佐原間の一部列車がワンマン化される。
また、常磐線では日中時間帯、土浦を境に上り列車が10両編成、下り列車が5両編成での運行となり、上下が同一ホームでの乗換えとなる系統分離が実施される。
首都圏以外では仙石線に土休日ダイヤを設定。運行間隔の均等化を図るため、磐越西線では日中時間帯を中心に郡山発、会津若松発がパターンダイヤ化。奥羽本線の秋田・大曲・横手・湯沢の各駅でもパターンダイヤ化される。羽越本線村上〜鶴岡間はワンマン化される。
運行間隔の均等化は西日本でも実施され、JR西日本では朝通勤時の大阪方面の列車で、東海道本線(JR京都線・JR神戸線)の新快速が10分もしくは20分間隔に。大阪環状線や関西本線(大和路線)、阪和線では4または6分間隔となる。七尾線などの地方線区でも一部時間帯でパターンダイヤ化され、氷見(ひみ)線では全列車がワンマン化される。
JR四国では高徳線徳島〜板野間、鳴門線池谷〜鳴門間が新たにパターンダイヤ化され、土讃線土佐山田〜高知間のパターンダイヤも利便性が向上する。
新幹線や在来線特急も大幅な減便…パターンダイヤが進むローカル輸送 2022年3月「春のダイヤ改正」
2021年12月20日(月) 18時45分